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「ワクチンが唯一の希望 社会で次の感染症流行に備えを」

ピーター・ピオット博士講演 日経・FT感染症会議

英ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院学長のピーター・ピオット博士が6日、横浜市で開催されている第7回日経・FT感染症会議で講演(事前収録動画を放映)した。新型コロナウイルス感染症の克服にはワクチンが必要不可欠とし、国際連携や基本的な感染症対策の継続などを訴えた。研究開発や保健制度構築に投資し、将来の流行に備えるべきだとした。

ピオット博士は、致死率が最大90%ともいわれるエボラウイルスを発見し、「エボラの父」として知られている。アフリカで当時未知だったエボラウイルスと向き合い、対策を積み上げてきた。エイズ感染拡大を防ぐために各国首脳らに直談判し、協力の輪を広げるなど行動力にも定評がある。

豊富な経験を持つ博士は、冒頭、「我々はパンデミック(世界的流行)の時代に生きている。以前は局地的な問題だったことが一夜にして世界規模の問題になり得る」と述べた。人々の行き来が容易になり、森林破壊が進んで人と動物が接する機会が増えるなど、自然との共生が難しくなったためだとの認識を示した。

「新興感染症は人獣共通感染症だ」と指摘、十分な対策をするには「人の感染症の増加だけでなく、家畜や野生動物の間で何が起きているかを監視することが重要だ。獣医や医師、保健などの専門家がより協力すべきだろう」と話した。

人に感染するウイルスで人類が歴史上根絶できたのは天然痘のみだと指摘した上で、「新型コロナの流行を抑えられた国でも、根絶はできていない」との認識を示した。新型コロナは全身に長期的な影響を及ぼす可能性がある。軽症だった若者でも倦怠(けんたい)感などの後遺症が続く可能性があるという。「医療制度にも長期にわたり影響するだろう」とみる。

このため「多くの犠牲を払う集団免疫戦略はとるべきではない」と主張、課題は多いが、「ワクチンがパンデミックを脱する唯一の希望だろう」とワクチンの重要性について言及した。

現在、前例のないスピードでワクチン開発が進んでいる。世界中の企業や学術団体が取り組みを進めており、開発が先行するワクチンの効果の有無は「年末までにわかるだろう」との見方を示した。

新型コロナとともに生きる社会についても言及した。「文化や行動規範の変化が必要だ。二度と同じ世界には戻らない」と意識改革と覚悟を促した。「全ての国が安全になるまで、どの国も安全ではない。弱い立場の人の安全を確保し、研究や技術革新などに投資して保健医療、社会、経済への影響や損失を軽減することが必要だ」と主張した。

これまでの教訓を生かし、将来の感染症の流行に備える重要性を強調した。「政治的な素早い行動は簡単ではないが大きな結果の違いを生む。国や企業、国際機関などで政治的なリーダーシップが重要だ」とし、感染症の問題に国際政治の枠組みで取り組むべきだとした。

科学への投資とその成果の活用にも触れた。「特効薬はない。ワクチンができた後も社会的距離の確保などの予防策が必要だろう」との見解を述べた。長引く流行でコロナ疲れは出てきているが、「社会全体で対策に取り組み続けることが重要だ」と対策の継続を訴えた。

横浜市で開幕した日経・FT感染症会議(6日午前)

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