大成学術財団、建設関連研究の3氏を表彰

大成学術財団は5日、研究費を助成している研究内容の中から防災関連など研究成果の優れた3氏を表彰した。山内隆司理事長(大成建設会長)は「どの研究にも用いられているデジタル技術が建設業界全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する」と期待を寄せた。
金賞は東京大学の川口健一教授が受賞した。スマートフォンのカメラで天井を撮影すると損傷度合いを自動で算出するアプリケーションを開発した。人工知能(AI)を活用し、専門家ではない施設管理者などが手軽に損傷箇所を調べることができる。損傷の少ない建物は避難所として活用できるため、災害後のすばやい判断が必要だった。実用性の高さが評価された。
銀賞を受賞した宇都宮大学の中島史郎教授は、木質建築で活用が広がっている強度が高い集成材「CLTパネル」について、温度や湿度の影響を実験で明らかにした。銅賞を受賞した三重大学の岡辺拓巳准教授は洪水時に河川から海岸まで土砂がどのように運ばれるか予想解析するシステムを構築した。
大成学術財団は大成建設が2017年3月に設立した。防災や省エネ、コンパクトシティーなど建設に関わる研究が対象。2020年度は53件の応募のうち13件を採択し、合計約2400万円を助成している。今回は18年度に採択された10件の研究の成果から選考した。
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