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遠隔審理、映像・音声は鮮明 買収事件で本格運用

大型モニターやビデオカメラを設置しビデオリンク方式に対応した東京地裁の法廷=代表撮影

2019年参院選広島選挙区を巡る買収事件で、法廷と別の裁判所を映像でつなぐビデオリンク方式の証人尋問が本格実施されている。これまでの公判では、モニター画面越しのやりとりはおおむねスムーズに進んだ。ビデオリンクによる遠隔審理は導入3年目だが、大型事件で多人数の証人尋問に使われるのは初とみられる。今後も一段の活用が求められる。

「中継を始めてください」。東京地裁の裁判長が指示すると、裁判官の手元や法廷の壁にあるモニターに広島地裁の別室が映し出された。

公選法違反(買収など)罪に問われた参院議員の河井案里被告(47)の公判で、10月13日と同15日に行われたビデオリンクによる証人尋問。対象となった広島県の地元議員2人は、画面越しに尋問に応じた。

専用回線を使った映像や音声は鮮明で、2人は元法相の河井克行被告(57)から現金を受領したり、受け取りを拒否したりした場面を身ぶりを交えて証言した。証拠の手帳を示す際には、接写できる別のカメラを使って証人側のモニターに映し出した。

尋問は支障なく進んだが、質問と受け答えが重なったり、マイクの不調からか、検察官が「聞こえますか」と数回繰り返して呼びかけたりする場面もあった。

公判が分離された克行元法相の審理でも、ビデオリンクが一部で実施される可能性がある。

ビデオリンクによる遠隔審理は18年施行の改正刑事訴訟法で認められた。法廷と同じ裁判所に出頭すれば証人に害が及ぶケースや、遠方に住む証人の出廷が難しい場合に実施される。今回は新型コロナウイルスの感染を防ぐ狙いもあり、広島県在住で高齢の証人が対象になった。

年間7万件を超える刑事裁判のうち、遠隔審理が実施された証人数は18年15人、19年23人とごくわずか。法廷での対面審理を中心とする従来の運用は大きく変わっていないのが実情だ。

元裁判官で一橋大法学研究科の青木孝之教授(刑事法)は「証人の協力が得られなければ、真相を明らかにするという刑事司法の機能が損なわれる恐れがあり、ビデオリンクなどを通じた証人の負担軽減は重要だ。実績を重ねながら、時代の要請に合わせたオンライン化、リモート化を進める必要がある」と指摘する。今回の公判で得られる知見も基に、活用の幅をさらに広げることが求められる。

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