クアルコム、5G好調で純利益5.8倍 7~9月

【シリコンバレー=奥平和行】米半導体大手のクアルコムが4日発表した2020年7~9月期決算は、売上高が前年同期比73%増の83億4600万ドル(約8700億円)、純利益が5.8倍の29億6000万ドルだった。高速通信規格「5G」関連の半導体の販売が増え、特許紛争の和解に伴う金銭の受け取りも収益を押し上げた。
中国の華為技術(ファーウェイ)から受け取った和解金などの影響を除いた実質的な売上高は65億200万ドル、1株利益は1.45ドル(前年同期は0.78ドル)だった。いずれも市場予想を大きく上回り、4日の米株式市場の時間外取引で株価は一時、同日終値より14%上昇した。
同日のアナリスト向け説明会で、スティーブ・モレンコフ最高経営責任者(CEO)は「5Gは当社にとって業界リーダーとしての地位を強固にする最大の機会だ」と述べた。アカシュ・パルキワラ最高財務責任者(CFO)は21年の5G対応のスマートフォンの世界出荷台数が前年の2.5倍にあたる4億5000万~5億5000万台になると説明した。
事業別の売上高は半導体部門が前年同期比38%増の49億2100万ドル、技術ライセンス部門が2.8倍の34億2500万ドルだった。10~12月期は売上高が78億~86億ドル、実質1株利益は1.95~2.15ドルとの見通しを示した。主力取引先の1社である米アップルが5G対応のスマホを年末商戦の主軸に据えており、この影響などを見込んでいる。