コロナで拡大eスポーツ、広告・販促の場として脚光
eスポーツは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて各国で導入されたソーシャルディスタンス(社会的距離)規制で大きな恩恵を受けている。消費者に従来のスポーツイベントの代替品を提供する機会を得たからだ。
このため、企業の決算発表ではeスポーツへの言及回数が過去最高の水準に達している。

ブランドや小売業はすでに大会スポンサーや関連商品の販売などでeスポーツになじみがあるかもしれない。だが、eスポーツの突然の急拡大により、オンライン上で消費者をターゲットにしたり、消費者と交流したりできる新たな機会が生まれている。
CBインサイツのプラットフォームから、各社がeスポーツブームを利用する3つの方法が判明した。
1.eスポーツ関連コンテンツ、オーディオに移行
音楽配信のスポティファイ(スウェーデン)は8月、eスポーツ大会の主要種目でもあるオンライン対戦ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」の公式オーディオ配信パートナーになった。この提携にはeスポーツ関連ポッドキャストの配信も含まれており、小売業などにとって新たなスポンサーの機会になる。
将来は双方向の音声広告もオーディオコンテンツを通じた販促手段になる可能性がある。
2.eスポーツの特徴やアプリ、ゲーム以外にも拡大
(eスポーツ関係者のユーザーが多い)米対話アプリのディスコード(Discord、企業価値35億ドル)は、多数のコミュニティーや友人グループなど約3億人に使われている。多くの視聴者が見込めるため、小売業などがオンライン広告以外で消費者とネットでつながる重要なプラットフォームとして台頭する可能性がある。
メキシコのテキーラブランド「ホセ・クエルボ」は最近、ライブ配信イベントの最中にディスコードを使って視聴者と交流した。
3.eスポーツのエコシステム、さらに進化したコンテンツ連動型広告の機会を提供
娯楽業界向け広告プラットフォームの4Dサイト(4DSight、アイルランド)は画像認識と自然言語処理(NLP)技術を使ってライブ配信中のeスポーツやゲーム大会を分析し、動画コンテンツ上にリアルタイムでブランドや小売りの連動型広告を掲示する。
このテクノロジーはコンサートやスポーツなど他のライブ配信イベントにも活用できる。

eスポーツの次の展開
eスポーツ業界はテクノロジーインフラが卓越していることで知られる。こうしたインフラはeスポーツがパンデミック(世界的な大流行)のさなかに急拡大を遂げた一因となった。いずれブランドや小売りにも大きな機会をもたらしてくれるだろう。
高品質で低遅延のライブ配信からオンラインでのコンテンツ制作能力に至るまで、eスポーツのインフラはオンラインでの利用を前提に設計されているが、テレビ局など既存メディアにも活用される可能性がある。
この「インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス(IaaS)」モデルを活用し、新たな形態の娯楽に乗り出している企業もある。廃刊した米音楽誌にちなんで名づけられたコンテンツ制作会社ヒットパレーダーは9月、eスポーツ会社の米スーパーリーグ・ゲーミング(Super League Gaming)と提携し、ロックミュージシャンが参加するeスポーツプラットフォームの提供を始めると発表した。