伊藤忠の7~9月期、四半期で最高益 食料品など好調
伊藤忠商事が4日に発表した2020年7~9月期の連結純利益(国際会計基準)は、前年同期比4%増の1477億円と、四半期で過去最高になった。新型コロナウイルス下の「巣ごもり消費」で食料事業が伸びたほか、中国向けの化学品の販売が好調だった。一過性の利益も収益を押し上げた。
食料事業の利益は前年同期比55%増の150億円だった。巣ごもりで家庭の食肉需要が増えたほか、経費削減が寄与した。エネルギー・化学品事業の利益は7%増の123億円。中国向け合成樹脂が伸びた。子会社の伊藤忠エネクスでは家庭用LPガスなどの販売が増えた。
7~9月期は子会社のファミリーマートにかかる税金費用が減少するなどして一過性の利益が335億円にのぼった。
一方、利益額の大きい金属事業は前年同期比9%減の250億円だった。鉄鉱石価格が上昇し、4~6月期(前年同期比33%減の228億円)比では増益だった。
機械や住生活事業では減益幅が2割強と大きかった。コロナ禍で移動の需要が減ったことから、自動車販売などが苦戦。住生活事業はパルプ市況の悪化や欧州のタイヤの販売が減った。
4~9月期の純利益は前年同期比13%減の2525億円で、21年3月期の純利益見通しに対する進捗率は6割を超えた。それでも純利益で前期比20%減の4000億円、年間配当は3円増の88円とする21年3月期の業績予想は据え置いた。
同日記者会見した鉢村剛最高財務責任者(CFO)は「経済の下振れリスクは依然として大きい。現段階の純利益と年間配当の見通しは必ず達成させる」と述べた。