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学術会議人事、首相「法に基づく」 野党「根拠不透明」

衆院予算委で論戦

菅義偉首相は4日、衆院予算委員会で立憲民主党の枝野幸男代表ら野党との論戦に臨んだ。争点となったのは日本学術会議の推薦を受けながら首相が6人の候補を会員に任命しなかったことだ。野党は理由や根拠が不透明だと主張したのに対し、首相は「法律に基づいている」と強調した。

立民の枝野氏のほか、共産党の志位和夫委員長、国民民主党の玉木雄一郎代表の野党3党首らが質問した。玉木氏や日本維新の会は学術会議について追及しなかった。

学術会議を巡る論点の1つは任命を拒否した法的な根拠だ。

首相は「公務員の選定、罷免は国民固有の権利」と定める憲法15条が人事の根拠になると説明した。学術会議の会員は特別職の国家公務員であり「推薦者を必ず任命しなければならないわけではない」と、従来の説明を繰り返した。内閣法制局の了解も得ていると語り「法律に基づいている」とも話した。

立民の枝野氏は憲法15条について「(罷免が)首相の権限とは書いていない」と指摘した。枝野氏は1983年に中曽根康弘首相(当時)が学術会議の人事に関して「政府が行うのは形式的任命だ」と国会で表明したことを引用した。その上で政府答弁が矛盾していると訴えた。

6人の人事の経緯を巡っては、首相は自身が決裁する前に杉田和博官房副長官から報告を受けたと明らかにした。野党は今後、杉田氏が国会で説明するよう与党に求めていく方針だ。

2つ目の論点は首相が任命を拒否した理由だ。首相はこれまで野党の質問に「若手が少なく出身大学に偏りがある」などと答えてきた。

4日の予算委で志位氏は、首相が任命を拒否した6人中3人が私立大出身者だと言及した。その上で「(首相は)多様性を念頭に判断したと言いながら結果が矛盾している」と疑問を呈した。

首相は「人事に関することで答えは差し控える」と繰り返し理由を明確にしなかった。「偏り」との発言との関係についても説明を避けた。

一方で首相は学術会議側の会員候補の選び方を問題視した。学術会議の会員が次の会員候補を推薦する仕組みを「閉鎖的だ」と述べた。任命拒否の理由を問う野党に「全国に約90万人いる研究者のうち2千人の連携会員と約200人の会員とつながりがないと会員になれないのも事実」と反論する場面もあった。

野党は人事の再考も迫ったが首相は応じなかった。枝野氏は6人の任命拒否で欠員が生じている状況について「違法状態だ」と訴え、拒否した6人を任命するよう求めた。首相は「一連の手続きは終わっている」と語り、人事を撤回しない意向を改めて示した。

人事の影響も議論になった。立民の逢坂誠二氏は「人事は勝手にやると萎縮する。社会の自由度が落ちる」と批判した。立民の後藤祐一氏が「権力者はいさめる人の意見を謙虚に受け止めないといけない」と迫ると、首相は「私ほどいさめられる人間はいない。官僚が色々な提案を持ってきてくれる」と答えた。

人事に照準をあわせた野党に対し、首相は学術会議そのものの見直しの可能性を示唆した。首相は「年間10億円の予算で活動する政府の機関だ。バランスの取れた活動を確保する」と表明した。

4日の衆院予算委は野党党首がそろって質問に立ったが、議論は平行線で終わった。首相は慎重に手元の紙をみて答弁する場面が多く、従来の政府見解をこえて発言をすることはなかった。

枝野氏は質疑終了後、記者団に「ご自身の言葉で語らないのは大変残念だ」と語った。5~6日は参院で予算委員会を開き、野党は再び学術会議に焦点を当てる予定だ。

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