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コロナ金融支援「伴走型」に、北海道で劣後ローンじわり

北海道で新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業への金融支援の第2弾として、政府系金融機関による資本性の「劣後ローン」がじわり広がり始めた。一部の金融機関はすでに10件以上の融資を決定。企業経営に深く関わる「伴走型」の支援といえ、本格的な回復へと動き始めた。

札幌市の民泊大手、TAKEは劣後ローンの活用を検討している。「債務超過になったら次の事業が打てない。前向きに事業展開できる体制になる」と武山真路会長。札幌市内の民泊は訪日客が多く利用してきたが、新型コロナの影響で海外からの旅行客が減少し利用が低迷している。

劣後ローンは企業が金融機関から借りる資金の1つで、経営破綻の際の返済順位が他の借金より後回しになる。ただ通常の融資は企業の負債に計上されるが、劣後ローンは一部を資本とみなせる。企業にとっては資本が厚みを増して信用力が上がり、追加融資が受けやすくなる呼び水効果をもたらす。

商工中金札幌支店では観光業から劣後ローンの利用相談が多い(札幌支店)

3月に始まった実質無利子・無担保融資を新型コロナ対策の金融支援第1弾とすれば、劣後ローンは第2弾。道内でも8月から政府系金融機関が取り扱いを始めていた。

多くの企業は第1弾の無利子融資を活用し、当座の運転資金にはメドをつけている。ただ札幌市内の電気設備工事会社の経営者は「当面は無利子融資を受ける。今後の事業展開はまだ見えない」とも話しており、個人事業主など小規模事業者には回復途上も多い。

商工組合中央金庫札幌支店にはホテルなど観光業からの利用相談が寄せられる。政府の観光支援策「Go To トラベル事業」の効果もあり、相談する企業のほとんどは資金繰りの問題を抱えていない。新事業やシンジケートローンなどを念頭に財務の安定を目的にする。日本政策金融公庫にも中小企業からの相談が寄せられ、9月末までに北海道で16件の融資を決めた。

ただ利用のペースは第1弾の無利子融資と比べると緩やかだ。無利子融資の開始直後には金融機関の窓口に企業の経営者らが押し寄せたが、劣後ローンは金融機関によって月数件の相談数にとどまる時もある。

劣後ローンは貸し倒れリスクが高い分、融資までのハードルが高い。企業は確実な再建につながる綿密な事業計画を作る必要があり、地銀などの民間金融機関から別途融資を受けられるようにしなければならないなど厳しい条件が課せられる。劣後ローンを貸し出す政府系金融機関も定期的に企業の経営状況をチェックし、必要な場合には計画の変更を求める。通常融資より長期にわたって支援するのが特徴だ。

コロナを理由に企業の借り入れがかさめば、将来経営が苦しくなる恐れもある。企業の体力を見極める力も必要で「金融機関にとっても覚悟が問われる」(商工中金札幌支店)。

北海道では新型コロナの感染者が再び急増しているものの、多くの企業は最悪期を脱し、回復に向かっている。コロナ後を見据えて事業展開に乗り出す企業も今後は増える見通しで、緊急時の命綱というよりも伴走型の性格の強い劣後ローンの出番が増えそうだ。

(塩崎健太郎)

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