/

米、台湾に武器売却加速 無人機4機 対中けん制

【台北=中村裕】米政府は3日、台湾に米国製の軍用無人機(ドローン)4機を約6億ドル(約630億円)で売却することを承認し、議会に通知した。10月21日、同26日に承認したミサイルなどを含め、この2週間での台湾への武器売却は計約5000億円にのぼる。

米政府が台湾への売却を承認した高性能ドローン「MQ-9」の同型機=ロイター

トランプ米政権は対立する中国をけん制する意図もあり、台湾寄りの姿勢を強めている。台湾はこうした状況のうちに武器購入を急ぐ考えだ。

中国外務省の汪文斌副報道局長は4日の記者会見で、ドローン4機の売却承認について「中米関係と台湾海峡の平和、安定を深刻に損なう。断固反対する」と主張した。売却の撤回も求めた。

今回、米国が売却を決めたのは、無人機を主力に扱う米ゼネラル・アトミックス製のドローン「MQ-9」4機。衛星通信を使って操縦する。監視能力が高く、欧州各国も採用している。

軍事専門家で、台湾国防部のシンクタンクである国防安全研究院の蘇紫雲所長は、今回の売却の意義について「偵察範囲が約200キロメートルに及ぶようになり、偵察能力が大幅に引き上げられる」と指摘した。そのうえで「(10月に売却が承認されたばかりの)対艦ミサイル『ハープーン』やロケット砲システム『HIMARS』の精度向上にも大きく役立つ」と語った。

米国から台湾への武器売却はトランプ大統領が2017年に就任してから加速した。3日の承認は、4年間の在任中で10回目。このうち8回は米中対立が過熱した19年以降だ。一方、オバマ前米大統領の2期目の4年間で、台湾への武器売却の承認は1回だけだった。

背景には、主に3つの理由がある。1つはオバマ政権が中国への配慮から台湾への武器売却を控えた。2つ目はトランプ政権が中国との対立を強め、台湾への武器売却を対中圧力の「カード」として利用している。

3つ目は、台湾による強い働きかけだ。「今の対米関係は過去にないほど最良だ」と蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は指摘する。「トランプ政権との関係が良好なうちに強く要請し、武器購入を急ぎたい」(台湾国防部の関係者)という。

仮に3日の米大統領選でトランプ氏が再選を果たせなくても「今、米国に武器売却の承認をしてもらえれば(トランプ政権が続く)年内までには正式決定し、行政手続きや予算編成も間に合う」(同)との読みもある。

米国の台湾への武器売却は1979年に米が定めた国内法「台湾関係法」と、82年に当時のレーガン米政権が台湾に約束した台湾政策「6項目保証」に基づいている。

台湾関係法は、米国が79年に中国と国交を結び、台湾と断交した直後に定めた米国内法だ。台湾に対する基本政策を示し、特に台湾の防衛に必要な武器の供与などを定めている。一方、6項目保証では台湾への武器売却に終了期限を設けないことや、台湾への武器売却に関し、中国と事前に協議しないことなど6項目を定めている。

こうした米国の姿勢に対し、台湾を核心的利益の一つとして重視する中国は強く反発する。中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は「米国は中国の内政に干渉し、中国の主権と安全に重大な損害を与えている。(台湾への武器輸出に)断固反対する」という内容の主張を繰り返している。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン