文豪、処刑人の回顧代作 野崎六助氏が選ぶ3冊
サンソン回想録 オノレ・ド・バルザック著
[有料会員限定]
初期のバルザックが変名で歴史ものなどを大量に書きまくっていたことはよく識(し)られている。これは、世襲で6代つづいた死刑執行人一族の、最盛期を担った4代目サンソンの回想録(代作)。長く翻訳の手がつかなかった理由は2つ。資料的信憑(しんぴょう)性の問題(創作半分?)。そして他の著者との共作だったこと。
冒頭にはナポレオンと会って、皇帝を恐怖させた挿話。どこかで読んだ記憶はあったが、バルザックの雄筆に...
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り461文字