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何事も裏表なく ウーバーイーツ代表支える雙葉の教え

武藤友木子・ウーバーイーツ日本代表(上)

武藤友木子・ウーバーイーツ日本代表

中高一貫のミッション系の有名私立校、雙葉中学・高校(東京・千代田)。桜蔭中高女子学院中高と並ぶ「女子御三家」と呼ばれる進学校だ。料理宅配のウーバーイーツ(東京・渋谷)日本代表の武藤友木子さんは同校の出身。「最難関のお嬢様学校」といわれる雙葉でどんな体験をし、何を学んだのか。

「将来は社長になりたい」。子供の頃から常に周囲にそう言っていた。

父親が実業家だったので、会社経営に関心があったのです。小学校は東京の多摩地方にある国立市の私立小学校に通っていたのですが、中学受験ではトップクラスの進学校に進学したいと思っていました。一方で両親はいわゆるお嬢様学校に行ってほしいと。それで「雙葉ならいいじゃない」ということで志望校が決まりました。

しかし、お堅いお嬢様学校という印象とは異なり、比較的自由な学校で、服装や髪形に関する校則もあまり厳しくはなかった。少し短めのコートがはやって、生徒の半数近くが着ていたことがありました。ちょっとうるさい先生から「何ですか、そのハレンチなコートは」と注意されたのですが、逆に言えばそれで終わり。他の先生も騒ぎ立てたり、指導したり、罰則を科したりすることはありませんでした。

髪形もソバージュにしたり、ちょっと色を染めたりする子もいましたが、金髪までにはしない。服装も髪形も大半の生徒は自分たちである規律、範囲を決めて、オシャレを楽しんだりするのです。だから奇抜な格好をする子はいない。

自律的な生徒が多かったと思います。自分で考え行動するが、ある一定のルールからはみ出さない。女子校ということもあり、例えば重い荷物も男子に頼るのではなく、何でも自分でやらなくてはいけない。明るくて活発で、おっとりしていても芯が強い。単純にお嬢様学校と言われるとちょっと違うかなと感じます。

ただ、実家が資産家の方は少なくなかったかもしれません。私も3歳の頃からピアノを習っていましたが、30人超のクラスメートでは1人を除いて全員がピアノを習っていました。

「ごきげんよう」と私だけはあいさつを交わしていました。もちろん冗談でやっていたのですけど(笑)。みんなは普通に「こんにちは」「さようなら」です。

当時の雙葉は1学年が160人ぐらい。どのグループの子とも仲良かった。

「『徳においては純真に 義務においては堅実にという雙葉の校訓は今も心に響く」と話す

クラブ活動で軽音楽系のポピュラーミュージック愛好会(当時)に入っていました。ギターを担当し、ガールズロックバンドグループの「プリンセスプリンセス」のほかにイギリスのポップグループの「バナナラマ」などの洋楽をよく演奏して結構人気がありました。9月の文化祭「雙葉祭」後の後夜祭でもメインで演奏したり、他校からもうちのイベントに来てほしいと誘われたりしていました。

「ガラスの仮面」など漫画にもはまっていました。兄がいたので、男子系の漫画雑誌にも詳しかった。一方で、数学や物理など理系では成績上位のクラスでした。それで勉強や遊び、オタク系などいろんなグループの子と付き合えたわけです。

小学校まではちゃんと授業を聞いて、宿題も欠かさずやっていました。しかし、中学2年の時にあるクラスメートから「そんなに真面目に宿題とかやらないよね」と言われたのです。「あぁ、そういうものなんだ」と思い、真剣に取り組まなくなってしまった。数学や物理など理系の科目は良かったのですが、英語や社会などの暗記科目の成績は一気に下がりました。

雙葉は女子御三家と言われますが、成績上位者を公表したり、「勉強をしなさい」とお尻をたたいたりするのではなく、あくまでも本人の自主性を重んじる学校でした。カトリック系のため、宗教やフランス語などの独自の授業もありましたが、受験対策にはあまり積極的ではなかったと思います。高3の時に数学の微分積分と自由研究のどちらかを選択する授業科目がありました。受験時期でも私は自由研究を選択し、四谷の近くにある迎賓館などを写真撮影し、撮影に関連した現像のメカニズムなどを研究したり、自由課題を学んだりしていました。

雙葉時代にもっとも印象的だったのは掃除の時間だ。

「自分で使ったものは自分できれいにしなさい」とトイレ掃除も生徒が徹底的にやるのです。雑巾を使って手でお手洗いの床をふき、便器もピカピカに磨く。小学校の時までお手洗い掃除などやったこともなかったので驚きました。週ごとに教室、階段の掃除当番をこなし、確か4週に1週はお手洗い掃除が回ってきました。ただ、エッと感じたのは最初の一瞬だけ、自分のことは自分でやるのは当然のこと、これは大事なことです。

今も心に響くのは雙葉の「徳においては純真に 義務においては堅実に」という校訓です。カトリック系の学校なので、神様と人の前に素直で裏表のないさわやかな品性を備え、やるべきことを誠実にやり抜く強さを持つようにという意味です。これを私なりに「ウソをつかずに、何事も裏表なくオープンにしてやるべきことをちゃんとやろう」と解釈しました。

小さなウソでも一度つくと、どんどん大きくなり、取り返しがつかなくなります。この言葉の意味は大学を卒業して社会人になって身に染みるようになりました。現在、私が日本代表を務めているウーバーイーツは、外国人など多様な人材が集まっているダイバーシティーな会社です。この世界では、オープンな環境で相手方にちゃんと説明し、自分のミッションを果たしていく必要があります。

2020年の雙葉高校の進学実績(卒業生169人)は、東京大学の合格者10人など国公立大学は計39人。早稲田大学77人、慶応義塾大学47人、上智大学28人、国際基督教大学(ICU)3人など難関私立大学の合格者も多い。

雙葉では人として生き方というか、心の持ち方を学びました。しかし、あまり受験勉強はしませんでした。理系でしたが、第1志望の大学入試には失敗しました。それでICUに進学しましたが、幅広く教養を学ぶリベラルアーツの大学のおかげでその後のキャリアが大きく開くことになりました。

(代慶達也)

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