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卓球ニッポン再始動 伊藤、張本ら五輪前哨戦に挑む

東京五輪で初の金メダル獲得を目指す卓球日本代表が再始動する。新型コロナウイルス禍で中断していた国際大会は11月、約8カ月ぶりに再開。いずれも中国で開催される男女のワールドカップ(W杯)と国際卓球連盟(ITTF)ファイナルには世界のトップ選手が集まり、いきなり五輪前哨戦と呼べるような熱戦が見られそうだ。世界ランキング2位の伊藤美誠(スターツ)や同4位の張本智和(木下グループ)ら東京五輪代表組がライバル中国勢にどこまで迫れるか。確かな結果を残して、再スタートに弾みをつけたい。

伊藤「足と体の使い方向上」

男子に先駆けて8日に始まる女子W杯には、東京五輪で日本卓球史上初となる女子シングルスのメダル獲得を狙う伊藤と石川佳純(全農)が出場する。

「体と足の使い方が本当によくなった」と伊藤が手応えを語れば、石川も「台上プレー、バックハンド、サーブ、レシーブと1カ月ごとに目標を持ち、良くなったと思えた」と納得顔で振り返る。一年中世界を転戦する生活が一変し、思わぬ形で得た8カ月もの鍛錬期間。当初は五輪延期への戸惑いもあったものの、各自が課題と向き合い、ベースアップにつなげられたようだ。

五輪と同様、W杯への出場は各国・地域から2人までに限られ、中国からは世界ランク1位の陳夢と同3位の孫穎莎がエントリーしている。ともに伝統の精緻なラリー力に加え、陳はバックハンド、孫はフォアハンドの強打も併せ持つ現代的なスタイルの難敵だ。

2008年北京五輪以降、金メダル独占を続ける中国はまだ東京五輪の代表を発表していない。両選手にとっては地元開催の大舞台で"天敵"の伊藤に勝つか負けるかが自らの選考に直結するため、これまで以上の集中力で挑んでくるだろう。特に伊藤は陳に対して過去0勝4敗。「(陳と孫の)2人に勝てれば他のどんな選手にも勝てる」と断言する相手を多彩な攻めで攻略したい。

張本「バックハンドに自信」

「人生の中でもトップのバックハンドが打てる。一番自信がある」と明るい表情で話すのは、13日開幕の男子W杯に出場する張本だ。もともとストレートとクロスに自在に打ち分けるバックハンドは一番の武器だが、「どんな試合でも70~80%のボールを連続で打てるようになりたい」と練習時間の7割をバックに割いてきた。

試合のなかった期間、張本はバックハンドの練習に努めた

「負けた試合の映像は見ない」とこれまで避けてきた、過去の自分ともしっかり向き合った。卓球場のある仙台市の実家で落ち着いた生活を送りつつ、格下に屈したり、思い通りにプレーできなかったりした試合を見返しては単調になりがちな練習のモチベーションに変えたという。「流れをつかみかけたときに簡単なミスで追い付かれており、調子ではなく単純に実力がなかった。技術あってのメンタルだと思った」

原点回帰の思いで重ねた猛練習の成果を試せる相手がW杯には待っている。リオデジャネイロ五輪2冠の馬竜と世界ランク1位の樊振東(ともに中国)。東京五輪代表入りが確実な2人に対し、張本は昨年のW杯準決勝で馬に勝ち、決勝では樊に敗れている。「2人ともボールの質は違うが、自分が同じようなバックハンドを打てれば安定したと感じられると思う。今年は決勝も勝って成長できたと思いたい」と思い切りぶつかるつもりだ。

東京五輪のシード争いも再開

男女のW杯と19~22日に実施されるITTFファイナルはコロナ禍のなかの移動を最小限にするため、中国での集中開催が決まった。ただ日本を含む海外選手は入国時のPCR検査などのため宿泊先で約1週間待機したり、現地での練習環境の情報が事前に十分把握できなかったりした。厳しい環境は重々承知の上で、男子の丹羽孝希(スヴェンソン)を含む五輪シングルス内定の全4選手が参戦したのは強豪との対戦機会だけが理由ではない。

今大会を皮切りに凍結中だった世界ランキングが動き出し、それは同時に東京五輪のシードを決める争いの再開も意味するからだ。現状の世界2位を維持できればシングルスで決勝まで中国勢と対戦しない組み合わせの可能性がある伊藤の「五輪のポイントがあるから、命がけで行くみたいなもの」との本音は、シード状況の違いこそあれ全員が感じていることだろう。

コンディション不良などを理由にITTFファイナルを欠場した平野美宇(日本生命)と水谷隼(木下グループ)の東京五輪代表2人は、今月17日開幕のTリーグが実戦復帰の舞台となる。水谷は伊藤との混合ダブルスを見据え、攻撃的なチキータレシーブを磨いてきたといい、「自分の中でこれなら行けるぞという手応えを感じている」。31歳のベテランらしく、自分のペースで実戦感覚を取り戻していくつもりだ。

(鱸正人)

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