イスラム国が犯行声明、ウィーンの銃撃テロ事件

【ウィーン=細川倫太郎、カイロ=久門武史】オーストリアの首都ウィーンで2日発生した銃撃事件について、中東の過激派組織「イスラム国」(IS)は3日、犯行声明を出した。AFP通信などが伝えた。これまでに4人が死亡、少なくとも22人の負傷者が確認されている。
ISは系列ニュースサイトでの声明で「カリフ(預言者ムハンマドの後継者)制の国家の戦闘員が銃撃を実行した」などと主張した。同ニュースサイトは、犯行に関わったとされる男が機関銃などを持った写真を掲載した。ウィーン中心部で群衆を襲い、警察官に射殺されたとしている。
これに先立ちオーストリアのクルツ首相は3日、「昨日の攻撃は明らかにイスラム過激派によるテロ」と断定していた。「我々の基本的価値観や民主主義への憎悪だ」と非難し、関与した全員に責任を取らせると強調した。これまでに当局は18カ所の捜査をし、14人の身柄を一時拘束した。
自動小銃などで武装した容疑者は2日午後8時(日本時間3日午前4時)ごろ、ウィーン中心部のシナゴーグ(ユダヤ教会堂)付近で乱射を始めた。発砲を始めてから、約9分後に警察によって射殺された。
容疑者は20歳の男で、オーストリアと北マケドニアの二重国籍を持っていた。ISに参加するためシリアに渡航しようと試み、2019年4月に有罪判決を受け同年12月に釈放されていた。
オーストリアのネハンマー内相は3日、この容疑者以外は「今のところ2人目の犯人がいる兆しはない」と説明した。当局は映像などの分析を進め、共犯者がいないか捜査を続ける。