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元秘書室長が語った2人のボス ゴーン事件公判

日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(66)の報酬過少記載事件で、検察側との司法取引に応じた元秘書室長はゴーン元会長とどう向き合い、元代表取締役、グレッグ・ケリー被告(64)とどんなつき合いをしていたのか。法廷での証言から2人のボスとの関係が浮かび上がる。

「秘匿性と信頼性」。大沼敏明・元秘書室長(61)の証言によると、ゴーン元会長は2つの単語で秘書室長の心構えを説いていた。「筋が通らないことでも指示に従うことが私の役割だと思っていました」。元会長と打ち解けることはなく、接する時は常に緊張していたという。

大沼元室長は1982年に入社してから主に人事畑を歩み、2007年9月に秘書室長に就いた。英語への苦手意識を克服しようと英会話教室に通い、ゴーン元会長が好む簡潔な報告書を作るよう心を砕いた。歴代担当者が数年程度で交代するなか、秘書室長在職は10年を超えた。

意思決定のスピードなど「(ゴーン元会長は)経営者として素晴らしい方だと思っていた」とし、秘書室長の仕事は「誇りがあったし、やりがいがあった」という。

筋の通らない指示を受けても「外される」との思いから表立った反対は避けた。「未払い報酬」の管理を任されたのも信頼の表れだと感じ「清濁併せのむ職務だと思っていた」と振り返った。

大沼元室長は検察と司法取引で合意し、捜査への全面協力を条件に起訴を見送られた。共にゴーン元会長の報酬隠しに携わったとされるケリー元役員は起訴され、無罪を主張。2人は法廷で顔を合わせることになった。

ケリー元役員とは元会長の報酬を巡る検討をきっかけに「信頼感が醸成されるようになった」。プライベートでも酒を飲みに行き、元役員が米国に拠点を移した後も現地で一緒に野球観戦を楽しんだ。

ケリー元役員と対立する証言をする心境を問われると、大沼元室長は「今でも尊敬や感謝をしている。複雑な気持ちです」と声を詰まらせた。「ケリーさんは私の上司ですが、どちらが悪いということはないです」。元役員は通訳が伝える元部下の言葉を視線を落として聞いていた。

大沼元室長への検察側の主尋問は11回行われ、10月29日に終わった。11月10日からはケリー元役員の弁護側による反対尋問が始まる。

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