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コロナで遅れたマスターズ 困難乗り越えた証しに

ゴルフジャーナリスト ジム・マッケイブ

昨年のマスターズのパー3コンテストでプレーするD・ジョンソン。今年の同コンテストは中止が決まった=AP

12日からおよそ7カ月遅れで今年のマスターズ・トーナメントが始まる。

男子ゴルフの米ツアーは6月にシーズンが再開されると、当初は選手、キャディーらに新型コロナウイルスの感染者が続出。不安な船出となったが、やがて感染対策への意識の高まりもあってか、フェデックス・カップ(プレーオフ)も全米オープンも無事に開催され、ニューノーマル(新常態)が定着した感がある。ただ、今回のマスターズ・トーナメントに関しては、どの大会よりもコロナ禍の影響を感じることになるかもしれない。

1960年から開幕前日に開催されていたパー3コンテストは中止が決まった。選手の子供がキャディーをしたり、セレブが姿を見せたりと、同大会を象徴する風物詩の一つだったが、今年は静かな大会前日となる。無観客には選手も慣れてきたが、バーディーを決めても騒ぎ立てるのではなく、それをさざ波のような静かな拍手でたたえるオーガスタ・ナショナルGCの「パトロン」は特別な存在であり、彼らの不在にも選手は違和感を覚えるだろう。

景色も変わる。アゼリアなど春に咲く花々に代わって紅葉が選手を迎え、仮設スタンドなどが消えるため、選手らは距離感に戸惑うかもしれない。もちろん、春と比べれば肌寒い中での大会となり、日没が2時間ほど早いため、最初の2日間は同大会では初めて1番と10番からの同時スタートとなる。10番といえば、オーガスタ・ナショナルGCで一番難しいといわれるホールだけに、顔をしかめる選手もいるのではないか。

とはいえ、誰もが願ったはず。中止されるよりは、どんな形でもいいから開催してほしいと。

昨年の覇者、ウッズに対する期待は相変わらず高い=AP

そんな中で変わらないものもある。今年も見どころに関しては、事欠くことはない。

昨年の大会で、メジャーでは2008年の全米オープン以来、11年ぶりの優勝を果たしたタイガー・ウッズ(米国)はどんなプレーを見せるのか。昨年秋、日本で行われたZOZO選手権で優勝して以来、1月下旬に行われたファーマーズ・インシュアランス・オープンで9位タイに入ったのが最高と精彩を欠いているものの、彼に対する期待度は、例のごとく高い。

現実的な優勝候補ということなら、ジョン・ラーム(スペイン)、ザンダー・シャウフェレ、ジャスティン・トーマスの3人……。いや、そこにダスティン・ジョンソンとブライソン・デシャンボー(すべて米国)を加えた5人の名前が、真っ先に思い浮かぶ。

ラームはこのところ、メジャー大会で抜群の安定感を誇り、18年以降、10戦で3回もトップ5に入っている。トップ10は4回。予選落ちを3回しているが、残り3回は11位タイ(19年、全英オープン)と13位タイ(20年、全米プロ選手権)、23位タイ(20年、全米オープン)だ。今年7月半ば以降は2勝を挙げ、フェデックス・カップ初戦のノーザントラストで6位タイ。同最終戦のツアー選手権では4位に入るなど、好調を維持する。10月下旬に行われたZOZO選手権でも2位タイに入った。

ラームはこのところメジャーで抜群の安定感を誇る=USA TODAY

シャウフェレは17年以降、ビッグトーナメント(メジャー4戦にプレーヤーズ選手権とツアー選手権を加えた6大会)に19回出場すると、17年のツアー選手権で優勝するなど、12戦でトップ10に食い込んでいる。2度目のマスターズ・トーナメント挑戦となった昨年は2位タイと奮闘した。

19~20年シーズンに3勝をマークしたトーマスは今季も、好調をキープ。マスターズ・トーナメント同様、やはりコロナの影響で延期され、9月に行われた全米オープンでも8位タイに入り、ZOZO選手権では惜しくも優勝を逃し2位タイだったが、負けてなお強さをアピールした。

世界ランキング1位のジョンソンは昨季終盤、プレーオフ3戦で優勝が2回。最後のツアー選手権は、10アンダースタートのハンディキャップ戦だったが、リードを保ったまま逃げ切っている。唯一優勝を逃した2戦目のBMW選手権もプレーオフで敗れての2位であり、ランク1位の力を見せつけた。彼はCJカップ(10月15~18日)直前に新型コロナウィルスへの感染が発覚し、マスターズ・トーナメントへはぶっつけ本番で臨むことになりそうだが、しっかり仕上げてくるのではないか。

デシャンボーは今年の大会の本命でもあり、ダークホースでもある=USA TODAY

そして、本命でもあり、ダークホースでもあるのがデシャンボー。若干、調子にムラがあるが、全米オープンでは、唯一アンダーパーをマークして圧勝。ドライバーで飛ばし、深いラフに入ってもそれをパワーでねじ伏せるスタイルは、ファンを熱狂させた。マスターズ・トーナメントが開催されるオーガスタ・ナショナルGCはラフが短いので、彼のパワーは決してアドバンテージにはならないかもしれないが、どんな戦い方を見せるかは、誰もが注目するところだ。

さて、優勝候補の近況を中心にざっと見どころをまとめたが、この大会で前シーズンの日程をすべて消化することとなる。

冒頭で触れたように、再開当初はコロナ感染者が続出し、再開が早すぎたのではとの声もあった。その時点ではマスターズ・トーナメントが11月に開催されることも正式には決まっていなかった。8月に公式発表されてからは、秋から冬にかけて感染拡大の第2波が来る可能性もあり、そこまでたどり着けるかという不安もあったが、なんとかここまでこぎつけた。

今年のマスターズ・トーナメントは選手にとって、そして米ツアー及び大会関係者にとって、困難をともに乗り越えた証しとして、その象徴ともなりそうだ。

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