投信の「仕入れコスト」を自動調整する定時定額購入
積立王子への道(17)

積立王子
投資信託
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2020/11/5 2:00
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投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

毎回同額投じるのが大事なんだ

毎月積み立て投資を続ける上で最も大切なポイントのひとつが、同じ金額を毎回投入するということだ。日常生活での買い物を例に説明しよう。

いろはちゃんがいつも飲んでるという野菜ジュース。毎回1000円分買うとして定価200円のジュースなら5本買える。さて、次に買いにきたら割引セールで半額の100円で売っていた。同じ1000円で10本買えるよね。ところがその次に買うときには定価が1本250円に値上がりしていたら1000円で4本しか買えない。さらに次に定価が一気に1本500円に引き上げられていたら、1000円で買えるのは2本だけだ。ジュースの割引、値上がりに対していつも1000円分買っていたいろはちゃんのジュース購入本数は計4000円で21本。そして1本あたり単価は約190円だ。

一方のハジメくんは数量固定派。毎回5本買うと決めて行動するなら、200円×5本(1回目)+100円×5本(2回目)+250円×5本(3回目)+500円×5本(4回目)=5250円となる。20本購入しているから単価は約262円になる。

「仕入れ単価」が下がれば売却益も大きくなる

いろはちゃんは割引セールのときに安い価格でたくさん買えたことによる効果でジュースの購入単価を低く抑えられたわけだ。そして毎回購入金額を一定にしたいろはちゃんは数量固定のハジメくんより1本多くジュースを買うことができたことも大事なポイントだ。

もしも誰かから定価の500円でジュースを全部譲ってほしいと言われたら、いろはちゃんは500円×21本(=譲渡金額)-4000円(=購入金額)で、差し引き6500円の利益が得られる。ハジメくんの場合は500円×20本-5250円で利益は4750円だ。これほどの違いになるのだよ。

投資信託も同じことだ

ジュースの例は定価の変動幅が大きく非現実的だったかもしれないが、投資信託のケースに当てはめても考え方は同じだ。投信では単位のことを口数と呼び、価格にあたるのは基準価格という。通常は1口=1円だ。毎月1万円の積み立てだと、基準価格が1円の時は10000口。翌月価格が半値の0.5円になったとすると20000口と、価格が下落した時に多くの口数を買うことができる。そして価格が2円に上がったならば購入口数は5000口と価格が高いときに購入口数を少なく抑えることになる。

値下がり時の口数増を意識できれば一人前だ

長期投資は長期的な価格の上昇を合理的に捉えていくわけだが、短期的な日々の価格はデタラメに上下を繰り返すものだ。従って毎月同額を同じリズムで積み立てることによって、相場が下落したときには安い価格で口数を多く手に入れることができる効果が大きいのだ。

なぜならば、各人の投信の資産残高はいつも基準価格×口数で決まる。つまり口数をできるだけ多く積み上げることが将来の資産総額を増やすキモだ。価格が下がって安くなった時に多くの口数購入を可能とする毎月定額方式は、上下を繰り返しながら投資対象の成長に伴い長期的な価格上昇を前提とする長期投資にとっては、現実的な結果として将来のより良い運用成果の可能性を高めるために有効な行動手段なんだ。

長期積み立て投資のこうした概念がちゃんと理解できれば、目先の相場が下がった時に安く多くの口数を仕込めると、むしろ嬉しくなるほど。2人ともこの境地に達したら本格的長期投資家の仲間入りだ。

 
中野晴啓(なかの・はるひろ)

セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。
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