衆院予算委 2日の論戦の主なやりとり
自民・下村博文氏
▽規制改革突破口に―首相
【デジタル庁】

下村氏 デジタル庁に強力な司令塔機能を持たせ、施策を実行すべきだ。断固たる覚悟で各省庁の権限移譲に取り組んでほしい。
菅義偉首相 行政の縦割りを打破して、大胆に規制改革を断行する突破口としてデジタル庁を創設する。社会全体のデジタル化へ向けて各省庁の権限を付与したい。
【日本学術会議】
下村氏 国民に理解されるように機能や役割を見直す必要がある。
井上信治科学技術相 梶田隆章会長と連携し、共に未来志向で検討したい。自民党のプロジェクトチームでの議論も参考にする。
自民・小渕優子氏
▽安価に大量供給を―首相
【脱炭素社会】
小渕氏 2050年の脱炭素社会の実現に水素は欠かせない重要な役割を担う。
首相 水素はクリーンなエネルギーであり、脱炭素社会実現に向け非常に重要な鍵となる。コスト高なので、革新的なイノベーションを通じ、安価で大量に供給するサプライチェーンを構築することが大事だ。
【人の往来】
小渕氏 新型コロナウイルス対策を徹底し、段階的に往来を再開すべきだ。各国との交渉状況は。
茂木敏充外相 圧倒的に人の来訪が多い中国と、ビジネス関係者らの往来の早期開始に向けて詰めの協議を行っている。
自民・山際大志郎氏
▽原子力含めて追求―首相
【エネルギー政策】
山際氏 エネルギー政策は現実的であるべきだ。
首相 2050年の脱炭素社会実現に向け、再生可能エネルギーだけでなく、原子力を含む、あらゆる選択肢を追求しなければならない。エネルギー政策は経済安全保障の観点も含めて集中的に議論し、結論を出していく。
山際氏 原子力発電に向き合うべきだ。
梶山弘志経済産業相 全ての手段や技術を駆使しなければ、脱炭素の達成は難しい。原子力政策にはさまざまな課題があるが、しっかり再稼働に向けて取り組んでいく。
自民・大塚拓氏
▽閉鎖的で既得権益―首相
【日本学術会議】
大塚氏 会員選考のプロセスを見直さないと、既得権益集団がポストをたらい回しにしているとの批判は免れない。
首相 選考は閉鎖的で、既得権益のようになっている。官房長官当時から懸念を持っていた。推薦者をそのまま任命する前例踏襲はやめるべきだと判断した。国民から理解される学術会議にしたいと思う。
井上科技相 選考プロセスをしっかり検証し、問題があれば見直していきたい。
公明・竹内譲氏
▽米国と緊密に連携―首相
【拉致問題】
竹内氏 北朝鮮による日本人拉致問題の解決に全力を尽くしてほしい。
首相 拉致問題は私の内閣において最重要課題だ。米国などと緊密に連携し、全ての被害者の一日も早い帰国のため全力で取り組む。私自身も金正恩(キム・ジョンウン)委員長と無条件で会って解決したい。
【教育】
竹内氏 不登校の子どもたちの学習を支援するため情報通信技術(ICT)活用を促進すべきだ。
萩生田光一文部科学相 ICT活用率が上がるよう期待したい。他方、オンライン授業さえ受ければいいのだと、やすきに流れてはいけない。
公明・岡本三成氏
▽前向きに検討する―国交相
【GoToトラベル】
岡本氏 政府の観光支援事業「Go To トラベル」の実施期間を来年上半期まで延長してほしい。
赤羽一嘉国土交通相 観光の回復状況や予算の状況を勘案し、前向きに検討したい。
【携帯電話料金】
岡本氏 菅義偉首相が値下げへのろしを上げたことを高く評価する。
首相 政権公約との思いで取り組んでいる。政府一丸となり実現したい。
立民・江田憲司氏
▽前例踏襲やめ判断―首相
【日本学術会議】

江田氏 任命拒否した6人の研究や業績を知っていたか。
首相 東大の加藤陽子教授以外の方は承知していなかった。
江田氏 事前に杉田和博官房副長官と話し、任命に関する方針を決めたのではないか。その方針を明らかにすべきだ。
首相 前例踏襲はやめ、例えば民間人や若い人を増やせたらいいと、私が判断した。個々人の任命理由については、通常の公務員の任命と同様に答えを控える。
【消費減税】
江田氏 新型コロナウイルス禍の消費喚起策として時限的な消費税減税を考えてはどうか。
首相 消費税は社会保障の財源だ。税率引き下げは考えていない。
立民・今井雅人氏
▽若手とは認めない―首相
【日本学術会議】
今井氏 任命拒否された宇野重規東大教授は53歳。会員候補105人のうち52歳以下は11人しかいない。なぜ任命しなかったのか。
首相 現在の会員のうち49歳以下は3%にすぎない。(53歳を若手とは)認めない。個々人については答えを差し控える。
今井氏 宇野氏は若手。答弁がめちゃくちゃだ。任命拒否された6人は安全保障関連法などに反対したから外したのか。
首相 政府の法案に反対したから外すというのはあり得ない。
今井氏 政府方針に合わない官僚は人事で外すのか。
首相 選挙の際に政策を約束する。それに官僚が反対したら、国民との約束が実行できない。その職務でなく違うところに行ってもらうのはやむを得ない。
立民・川内博史氏
▽全体見て判断する―首相
【日本学術会議】
川内氏 日本学術会議が任命されなかった6人を改めて推薦してきた場合の対応は。
首相 全体の内容を見て判断する。
【新型コロナ対応】
川内氏 都道府県が全国の新型コロナウイルス感染状況をリアルタイムで情報共有するため、法整備すべきだ。
首相 精査したい。最悪の事態に備える体制を組み立てるのが大事だ。
立民・奥野総一郎氏
▽逮捕、起訴は残念―首相
【公選法違反事件】
奥野氏 公選法違反の罪に問われた元法相の河井克行衆院議員と案里参院議員の夫妻は国会に出席できていない。議員辞職を勧告してはどうか。
首相 自民党所属だった現職国会議員が逮捕、起訴されたのは残念だ。公判中の事件であり、答えは差し控えたい。
【表現の自由】
奥野氏 表現の自由には一定の制限があると考えるか。
首相 全ての国民に保障された基本的人権で、外部に思想や信条、主張を表す自由だ。極めて重要な権利で、制限はない。
〔共同〕
関連キーワード