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中国発「IoT」の米びつ、買い足しもらくらく

家庭に常備する食品の代表格であるお米、保存方法は旧来型のライスストッカーや米びつを使用しているだろうか?うっかりお米を切らしてしまったり、一度にどのくらい買うか、どのタイミングで買い足すか悩んだり…意外と問題点があるものだ。ある中国のテック企業がこうした悩みの解決に乗り出した。

除菌機能をつけて、カビなどからコメを守る(御米糧倉提供)

2019年に設立されたばかりの「御米糧倉(YUMI GRANARY)」はライスストッカーを主力製品とする家電開発メーカーだ。プラズマを活用して米を衛生的に保存する製品を開発し、同年末にはシードラウンドで500万元(約7900万円)を調達した。

米は空気に触れることで酸化し、カビが生えやすくなる。ライスストッカーは米を湿気から守り、防カビや防虫の役目を果たすものだ。日本や韓国では長らく活躍しているが、中国ではこうした米専用の保存容器が普及していない。御米糧倉の共同創業者Cohen氏は、「空気清浄機や浄水器は年間1000万台以上売れる。我々はこの"浄化系"家電というブルーオーシャンに着目し、キッチン向けの製品として、まずは家庭の必需品である米から着手した。インテリジェント化したライスストッカーでガラ空きの国内市場を席巻しようと考えたのだ。この分野で中国のトップブランドを確立したい」と述べる。

米の除菌方法として低温、真空、乾燥などさまざまなアプローチを考えたが、最終的にはプラズマ技術を採用した。容器の開閉時に除菌機能が作動してカビの発生を防ぎ、ワンタッチで99%のカビを除去できるという。さらにIoTチップを用いて米の使用状況や残量を記録し、専用のミニプログラム(ミニアプリ)と紐(ひも)づければ米の鮮度や使用データをリアルタイムで確認できる。保存容量は6キロで、容器の外観は世界的な工業デザイン賞「レッド・ドット・デザイン賞」の受賞歴があるデザインチームが手がけたミニマムなロケット型だ。

著名な賞を受賞したデザインチームに依頼し、シンプルなデザインにした(御米糧倉提供)

製品に付随して開発したミニプログラムではIoT技術を活用して米の残量を把握するとともに、米の注文サービスを提供している。現段階でサプライヤー20社と提携しているという。既存の流通過程では、米は生産者から消費者に届くまでに多くの中間業者が入って無駄な時間を消耗し、利益も減っていく。御米糧倉のライスストッカーはIoT技術により買い足しのタイミングを事前に検知し、発注から72時間以内に新鮮な米が届く。

IoTとニューリテールの掛け合わせにチャンスを見出し、米の保存を担うライスストッカーと購入を担うミニプログラム、つまりハードウエアと消費財双方からの収益によるクローズドループを実現させた。ライスストッカーは一度買えばおしまいだが、米の補充は頻繁に起こり、リピート率が高まる。御米糧倉が狙ったのは持続的なユーザーライフサイクルの確立だ。

御米糧倉のライスストッカーは399元(約6300円)。今年9月の発売以来、3万個以上を受注している。ニュータイプの家電として、空気清浄機やロボット掃除機のような成長プロセスを参考にしているという。現在はより製品開発に重点を置き、同時にEC展開やマーケティングを通じて市場への周知を図っている。

Cohen氏によると、初期の販売は集中販売を手がけるディーラーや地域コミュニティ向けの共同購入サービスを利用している。購買層は健康や生活の質にこだわる一級都市在住者だけでなく、消費力がそれほど高くない二級・三級都市在住者にも需要があることが分かったという。

御米糧倉は上海に拠点を構え、創業者兼CEOの譚偉烽氏はこれまでにもハイテクベンチャーに特化したVC「求真創業投資(QiuZhen Venture Capital)」のCEO、小額融資サービス「信而富(China Rapid Finance)」のバイスプレジデント、インターネット金融サービス「上海迅銀(epayBank.com)」のCOOなどを歴任したシリアルアントレプレナーだ。

「36Kr ジャパン」のサイトはこちら(https://36kr.jp/)

中国語原文はこちら(https://36kr.com/p/920940691212163)

 日本経済新聞社は、中国をはじめアジアの新興企業の情報に強みをもつスタートアップ情報サイト「36Kr」を運営する36Krホールディングスに出資しています。同社の発行するスタートアップやテクノロジーに関する日本語の記事を、日経電子版に週2回掲載します。
 日本経済新聞社は11月13日、36Krと共同でセミナー「『中国巨大テックBATHの実力』~テンセントとファーウェイに迫る」を開催します。中国テック大手の技術革新に触れるシリーズの第1弾として、テンセントとファーウェイの日本法人幹部による講演を通じ、米国も警戒する両社のクラウド・AI技術の実力に迫ります。
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