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川崎重工、航空不振で背水の陣 鉄道・二輪など分社

経営計画を発表する橋本康彦社長

川崎重工業が体制の再構築に動く。2日に発表した2030年度を最終年度とする新たな事業方針では水素やロボットなど新規事業を拡大する一方、21年10月に不採算の二輪車や鉄道車両などを分社する。30年度に8%の営業利益(20年度見通しは200億円の赤字)を目指すが、新規事業への投資が膨らむなかで達成できるかは不透明だ。

「スピードが価値と利益を生む。変化に対し敏感に反応できる会社にするのが私の使命だ」。事業方針説明会で橋本康彦社長は力を込めた。新型コロナウイルスの影響で記者会見の機会を持てず、対面で所信を表明したのは今回が初めてだ。

同社は21年4月に構造改革中の船舶海洋事業をプラント事業と統合し、同年10月にも鉄道車両と二輪車事業を分社する。橋本氏は「自立経営を促し、業界内での連携も強化させる」と述べた。基本的に子会社で運営するが「外部資本を受け入れやすくする」(橋本氏)面もあるという。

川重は2000年代に精密機械や造船、プラント部門を分社し、このときは「分社後に採算が改善した」。電動化が進む二輪車や採算が悪化している車両部門は他社との連携に素早く動ける体制が必要と判断した。

製造過程が似ている航空・宇宙と車両事業も連携を深める。21年3月期まで2期連続の赤字を見込む船舶事業は水素燃料を製造したり運んだりする製品群を拡大するため、プラント事業と統合しシナジーを生み出す。

一方で回復に数年かかるとみられる航空宇宙システム部門では派遣社員を含めて、部門の1割にあたる600人規模を配置転換などで減らす。早期退職は実施しない。

成長事業として掲げるのは水素事業や手術ロボットなどのロボット事業だ。水素事業では現状ほぼ液化水素運搬船の実証設備だけしかない売上高を30年度に1200億円へ引き上げる。水素燃料を使う航空機の開発を目指すエアバスの動きに合わせ、エンジン部品も開発する。水素関連の事業化調査(FS)は国内外から50件余りの検討依頼が来ているという。

川重はコロナ禍の前から収益体制の構築が遅れていた。車両事業は新幹線車両の台車の不具合や米国向け車両の納期遅れなどで、18年度までに2期連続で100億円超の損失を計上している。

造船部門では政府の支援なども受けて設備投資を進める中韓勢などとの低価格競争で液化天然ガス(LNG)船などを受注できておらず、21年3月期には坂出工場(香川県坂出市)で約40億円の減損損失を計上する。

そのうえで他部門とのシナジー効果が薄いとされてきた二輪車事業と構造改革中の車両事業は分社し、水素関連事業の強化に向けて船舶、プラント事業を拡大する。

同社は新たな経営目標として30年度の連結売上高で20年度見込み比7割増の2兆5千億円、売上高営業利益率は8%を目指す。精密機械・ロボット部門から初めての社長となった橋本氏は「過去にロボット出身の社長がおらず、カジをとりやすい」と抱負を述べた。

三菱重工業三井E&Sホールディングス、造船専業大手といった競合他社は他社との事業統合など思い切った手を打っている。これまで業界再編に乗り遅れてきた川重は今後、どんな道を選ぶのか。橋本社長の決断力が問われている。

(西岡杏)

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