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維新「看板」失い窮地 都構想の「次」見えず

大阪都構想 否決の先に(上)

記者会見する大阪維新の会代表の松井大阪市長(右)と吉村大阪府知事(2日未明、大阪市北区)

「大阪都構想」が住民投票で再び否決され、10年にわたって大阪市民を二分してきた議論が事実上、決着した。今回をラストチャンスと位置づけてきた大阪維新の会は「一丁目一番地」の政策が挫折し、抜本的な出直しを迫られる。一方で、反対派も具体的な成長戦略は乏しい。地盤沈下から脱しきれない大阪はどこに向かうのか。住民投票後の課題を探る。

「東京一極では持続可能な国はつくれない。府と市が二度と対立しない仕組みをつくって、東は東京都、西は『大阪都』、この二極で日本を引っ張っていこう」。住民投票の投開票日だった1日昼、維新の松井一郎代表(大阪市長)は大阪・ミナミの高島屋前で、右手を振り上げて力説した。

2015年5月の前回の住民投票で否決された後、松井氏らが提唱したのが「大阪の副首都化」だ。国全体の成長をけん引するとともに、非常時は首都のバックアップ機能を果たす――。府・市が17年にまとめた「副首都ビジョン」は、東西二極の一極となる意義を訴える。そのための基盤づくりというのが、都構想再挑戦の"大義"となったが、2度目の否決で頓挫した。

優勢が伝えられた維新の関係者に焦りの色が濃くなったのは10月下旬だ。日本経済新聞などが同月中旬に行った電話世論調査は賛成40%、反対41%。6月下旬の調査では賛成が49%で反対に14ポイント差を付けていたが、形勢が逆転した。ほかの各種世論調査でも、相次いで「賛否拮抗」とされた。

維新は、新型コロナウイルスの感染状況を考慮して控えていた吉村洋文維新代表代行(大阪府知事)らの街頭演説の事前告知を開始。屋内での大規模集会も解禁した。「予断を許さない状況だ。最後の土日2日間が本当に勝敗を決する。全て出し切って」。30日夜の選対会議で今井豊幹事長が発破をかけたが、間に合わなかった。

1日夜、住民投票での否決を受けて松井氏とともに大阪市内のホテルで記者会見に臨んだ吉村氏は力を込めた。「『大阪都』はできないが、府・市一体で成長戦略を進めることは必要だ」

しかし、党の最重要政策である都構想が挫折。ある市議は「都構想だけが維新の政策じゃない」と強調するが、府議の一人は「次にすべきことが見当たらない。議会で過半数を占めている意味がなくなった」と肩を落とす。

維新前代表の橋下徹氏や吉村氏とともに党の"顔"だった松井氏は維新代表を近く辞任する意向を固めた。別の市議は「いなくなるのは不安だ」と漏らす。

大阪経済を浮上させてきたインバウンド(訪日外国人)需要は新型コロナの感染拡大で沈み、府・市が成長戦略の要として誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)も海外事業者の経営環境悪化などで先行きが見通せない。25年国際博覧会(大阪・関西万博)まで4年余り。維新の勢いが弱まるなか「大阪の成長」の行方は急速に混沌としてきた。

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