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球よりも速い? 周東、ホークス3年ぶりVをけん引

12試合連続盗塁のプロ野球新記録を樹立し、ボードを掲げるソフトバンク・周東=共同

3年ぶりのパ・リーグ優勝を果たした10月のソフトバンクは球史に残る強さを見せた。9日時点では2位ロッテにゲーム差なしと肉薄されたが、翌日から15年ぶりの12連勝。黒星ひとつを挟んで再び6連勝で駆け抜けた。月間22勝、貯金18はいずれもプロ野球新記録。怒濤(どとう)のラストスパートをもたらしたのは急成長を遂げ、1番に定着した周東佑京(24)だった。

2失策が転機に

「9月12日ですね。今年一番忘れられない試合。このままの自分じゃダメだと思った」。優勝を決めた10月27日、今季のターニングポイントになった試合を聞かれた周東は即答した。西武戦の二塁の守備で2つの悪送球を犯した。試合の勝敗には影響なかったが、ベンチで目を真っ赤にし、タオルをかぶった。

めざましい活躍を見せるようになったのはその後だ。18日の楽天戦で4安打を放つと、下旬のロッテ3連戦でも8安打の固め打ちで1番に定着した。非力が目立った打撃が目に見えて向上し、9、10月の月間打率は3割超。9月12日時点で2割1分2厘だった打率を2割7分1厘まで上げている(11月1日時点)。

10月30日の西武戦で二盗のスタートを切る周東。13試合連続盗塁を達成した=共同

出塁が増えて一段と生きるようになったのが球界最高級の快足だ。代走での起用も多かった6~8月は計12盗塁だったが、9~10月で37個を積み上げた。10月30日にかけては13試合連続盗塁をマークし、福本豊さん(阪急)の日本記録(1971、74年の11試合)、大リーグ記録の12試合も塗り替えた。念願の盗塁王のタイトルもほぼ手中にし「シーズン序盤にこういう結果は思ってもいなかった。自分の中でもいい意味で裏切れた」。本人も驚く飛躍である。

盗塁成功率は9割超

日本記録に並んだ10月28日のロッテ戦では驚異の快足ぶりを改めて印象づけた。三回に出塁すると気がはやり、スタートを早く切りすぎた。けん制球で挟まれ「ヤバいと思った」が、そのまま二塁に全力疾走。球より速く、ベースに達した。

圧倒的なスピードに加え、特筆すべきは盗塁の価値だ。失敗は僅か5回で成功率は9割7厘。49盗塁のうち37個を次打者の2球目までに決め、32個は同点もしくは1点差という競った場面だ。単打や四球を二塁打に変えてしまう。

打撃面での改善をもたらしたのは「走れて長打が打てて簡単にアウトにならない。理想の1番」と尊敬する日本ハム・西川遥輝からの一言だった。西武戦で悔しい思いをした後の札幌遠征で助言を求め、「四死球でもいいから、どうやって塁に出るかを考えれば良くなる」と言われた。「それまではバットを振っていこうという意識が強かったけど、もっと静かにいこうと」。技術的には始動のタイミングを早め、差し込まれなくなった。

9、10月の打率は3割超。足のスペシャリストを脱し、リードオフマンの座をつかみつつある=共同

「一芸」入団から球界を代表する1番打者へ

チームの10月の1試合平均得点は月別で今季最高の5.26。工藤公康監督は「打率、出塁率、盗塁数とすべてで彼が出ることによって次の点へとつながっていった。チームに勢いをつけるという意味でも、1番として素晴らしい活躍をしてくれた」と賛辞を贈る。経験の浅い内野守備では12失策とミスも目立つが、快足と強肩を生かした美技も多い。三笠杉彦ゼネラルマネジャーは「ベンチが我慢して使い続けたというより、彼にそれだけの魅力があったということでしょう」と説く。

東京農大北海道オホーツク時代に「イチローより速い」といわれた快足が一芸を重視するソフトバンクスカウトの目に留まり、育成ドラフト2位で入団して3年目。支配下登録を勝ち取った昨年は日本シリーズ後の国際試合「プレミア12」で代走要員として日本代表入りも果たしている。「足のスペシャリスト」からパ・リーグを代表するリードオフマンへ。出世の階段も猛スピードで駆け上がっている。

(吉野浩一郎)

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