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田中将大、キャリアの分岐点 次に選ぶ球団の条件は

スポーツライター 杉浦大介

ヤンキースとの7年契約を終え、FAになった田中=USA TODAY

来季、田中将大は大リーグのどのチームでプレーするのか。ヤンキースとの7年契約を終え、日米通算14年目にして初めてフリーエージェント(FA)になった右腕の行方に今オフは注目が集まる。

今季の田中は3勝3敗、防御率3.56。10度の先発機会のうち9試合は自責点3以下と好調で、レギュラーシーズン終了時点では、今オフにヤンキースが複数年契約を提示するのは既定路線というのが地元ニューヨークの論調だった。

ところが、昨季まで通算8試合で防御率1.76と圧倒的な強さを見せたポストシーズンで、今年は2試合で11失点とまさかの乱調。これがヤンキースの地区シリーズでの早期敗退の一因となったことで、今後の契約に影響を及ぼすことは否定できないだろう。

選手、人間として多くのものを学んだ

「ヤンキースでプレーした当人たちにしかわからないものはたくさんある。そういう中でプレーしたいっていう思いがあったのでこのチームにきました。この7年の中でワールドシリーズ制覇、チャンピオンリングを取ることはできませんでしたけれど、一選手として、人間として本当に言い表せないぐらいのたくさんのものを学ばせてもらいました」

今季終了後のそんな言葉を思い返すまでもなく、田中がヤンキースとニューヨークに愛着を感じていることは容易に想像できる。同僚、ファンに愛されてきたし、メジャー随一といえる伝統チームでは毎年優勝争いが望めるのも魅力だ。

また、ヤンキースの方も依然として田中残留を望む可能性は高い。これまで先発の一角を務めたジェームズ・パクストン、JA・ハップはFAになり、主戦格のルイス・セベリーノは右肘手術で離脱中。そんな投手陣の不確かな状況下で、過去7年で通算78勝46敗、防御率3.74、昨季まで6年連続で2桁勝利を挙げ、大都市のプレッシャーにも負けないことを証明してきた日本人右腕の安定感は魅力のはずだ。

田中が全チームと交渉できるFAとなった場合、複数の球団からオファーを受ける可能性が高い=AP

ただ、問題はコロナ禍で今季が無観客シーズンとなったこと。本来は「金満チーム」のはずのヤンキースも財政難を主張している。チーム内に内野手のDJ・ラメーヒューのような優先度が高いと目されるFA選手がいること、田中ももう32歳を迎えたこと、今季は最後の最後で不調に終わったことなどから、提示される契約年数、年俸などは厳しいものになるかもしれない。

ヤンキースは11月1日(日本時間同2日)まで田中と独占交渉ができ、単年契約を求める「クオリファイング・オファー」の提示も可能。その場合の規定額は1890万ドル(約19億7800万円)だが、これを提示された場合、田中はどう考えるのか。

クオリファイング・オファーを受けないか、拒否して全チームと交渉できるFAとなった場合、いったいどれだけのオファーを受け取るのか。例えばヤンキースから改めて条件提示があるとして、他のチームからより好条件を示された場合にはどうするのか。

ベテランの域に達し、最も望むものは

「彼は家族の一員だし、ヤンキースの一員だと考えている。ただ、いま彼はFAになり、この時期には何が起こるかわからないものなんだ」

ヤンキースのブライアン・キャッシュマン・ゼネラルマネジャーの言葉通り、様々なシナリオが想定されるだけに、田中の選択を予想するのは容易なことではない。

実績を考えれば複数のチームから興味を持たれる可能性は高いだけに、その行方に関心が集まる。どのような評価、条件提示を受けるかはもちろん、優勝を狙えるチーム力があるか、さらにはそれぞれのマーケットへの興味、愛着など、様々な要素を考慮しながら結論を出すのだろう。

田中はキャリアの重大な分岐点を迎える。ここでの交渉過程と結論から、メジャーでもベテランの域に達した右腕が現時点で最も望むものが浮き彫りになってくるのかもしれない。

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