琉球王朝の雰囲気包む 火災1年、首里城祭で伝統芸能

沖縄
2020/10/31 11:46 (2020/10/31 18:44更新)
保存
共有
印刷
その他

首里城祭が開幕した首里城公園で、焼失した正殿付近に登場した国王役と王妃役(31日午前、那覇市)=共同

首里城祭が開幕した首里城公園で、焼失した正殿付近に登場した国王役と王妃役(31日午前、那覇市)=共同

首里城(那覇市)の正殿などが焼失した火災から1年となった31日、現地で首里城祭が開幕し、訪れた人からは再建を心待ちにする声が聞かれた。11月3日までの期間中、首里城公園では伝統芸能などが披露され、琉球王朝時代の雰囲気を味わうことができる。毎年この時期に開催。昨年は火災を受け、期間途中で中止となった。

公募で選ばれた国王と王妃が午前11時ごろ、焼失した正殿跡付近に登場した。琉球古典音楽などの伝統芸能も上演された。

焼損した奉神門前で朝、銅鑼(どら)が打ち鳴らされ「うけーじょー(御開門)」の掛け声とともに開門。火災後初めて、家族4人で正殿跡に足を運んだ沖縄県糸満市のパート、金城玲子さん(47)は「本当に焼失したんだなと寂しい思いがする。二度と燃えないように再建を進めてほしい」と語った。

首里城祭が開幕した首里城公園で、奉神門前に集まった人たち(31日午前、那覇市)=共同

首里城祭が開幕した首里城公園で、奉神門前に集まった人たち(31日午前、那覇市)=共同

夫婦で訪れた大阪市東成区の会社員、日高康太郎さん(42)は「沖縄県民の心のままに再建してほしい。募金などできることをしていきたい」と話した。

最終日の3日は、国王らが奉神門から、守礼門まで練り歩く古式行列でハイライトを迎える。新型コロナウイルス感染防止のため、国際通りを舞台とした「琉球王朝絵巻行列」は取りやめる。

首里城は14世紀ごろに創建。1429年から1879年まで続いた琉球王国の国王が居住し、政治や外交、文化の拠点だった。昨年の火災や1945年の沖縄戦を含め5回焼失。沖縄の本土復帰20周年を記念して92年に正殿などが復元された。

〔共同〕

■再建へ「関心持ち続けて」 国王役・高良さん
31日の首里城祭に国王役の会社員、高良朝壮さん(43)=那覇市=は災禍を免れた衣装をまとって登場した。火災を受け、大役の任期1年が来秋まで延長された。琉球の象徴である城を誇りに思う気持ちを胸に、「再建まで関心を持ち続けてほしい」と自ら情報発信の旗振り役も担う。
 この日は琉球古典音楽に合わせ、赤を基調としたきらびやかな衣装で、王妃役を従えてゆっくりと歩を進めた。表情には威厳が漂っていた。
 首里城近くで生まれ育ち、国王役に憧れてきた。統治した王朝や、帆船での交易など、先人の努力に思いをはせて志望。昨年9月、公募で選ばれた。
 火災当日の未明、友人からの電話で自宅を飛び出すと、炎と煙が勢いよく上がっていた。正殿が音を立てて崩れ落ちるのも目にした。数時間前まで首里城祭の登場場面のリハーサルをしていた場所だ。放心状態になり、それから数日間の記憶はところどころ途切れている。「失って初めて、心の一部だったと気付いた」という。
 「育ててくれた首里に恩返ししたい。自分が動かないと」。意見を集約しようと、対話アプリLINE(ライン)で自由に参加できるオープンチャットを立ち上げると、約700人が集まった。
 「首里城復興支援会」を発足させ、集会で出た要望を市と首里城公園を管理する財団に提出。歴史を学ぶシンポジウムも開催した。火災による昨年の首里城祭の中断に加え、新型コロナウイルス禍で集会を開けない事態にも直面した。それでも今後の催しを構想しながら、フェイスブックなどで首里城の情報を発信する。
 国王の衣装2着のうち1着が難を逃れたことで、気が引き締まった。「火災を機に首里城につながる琉球、沖縄の歴史をみんなで学び直し、伝統文化などの魅力を世界に発信していきたい」と考えている。〔共同〕
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]