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次世代がん治療BNCT「良好な効果」 南東北グループ

全国に医療機関を展開する南東北グループ(福島県郡山市)が6月に始めた喉や口の中などの「頭頸部(とうけいぶ)がん」を対象にした次世代がん治療で、高い治療効果があがっていることが分かった。高井良尋・南東北BNCT研究センター長が明らかにした。

BNCTによるがん治療のイメージ(福島県郡山市の南東北BNCT研究センター)

新しい治療法はホウ素中性子捕捉療法(BNCT)。がん細胞が自ら取り込む性質のあるホウ素化合物を投与し、ホウ素と中性子線を反応させて粒子線を発生させ、がん細胞を消滅させる放射線治療の一種だ。

高井良尋センター長

BNCTは治験と呼ばれる臨床試験で、がんが完全になくなったり30%以上小さくなったりした人の割合が7割強と、従来の化学療法に比べ3倍以上の効果が確認されている。6月に保険診療として始めた頭頸部がんの治療は大学病院などの紹介で患者を受け入れ、9月までの4カ月で30件以上の治療を行った。

治療開始から正確なデータがそろうまでの期間は経過していないが、治験の実績と比較して「極めて良好な初期効果が得られている」(高井センター長)としている。皮膚を越え外部に露出しているがんがなくなるなど、これまで治療が困難だった症状の治療に成功した例もあるという。

BNCTによる治療を始めたのは国内の民間病院で南東北グループが初めて。国内ではほかに大阪医科大学内にある関西BNCT共同医療センターが手掛ける程度。海外を含めても治療を行う医療機関は数えるほどしかなく、各機関が治療技術の向上を競っている。

一般の診療は治療効果を確認するための臨床試験に比べ、がんの部位や症状は幅広い。こうした診療で実績を重ねていくことができれば、BNCTで南東北グループの存在感が高まりそうだ。

治療対象の拡大にも取り組む。新たな対象として目指すのは「再発悪性神経膠腫(こうしゅ)」で、従来の方法では治療が容易でない脳腫瘍だ。効果や安全性確認のための治験は終了し、国の承認を得るための手続きが現在進められている。

ただ、一般向けの治療が国から承認されるためには、他の治療法との比較データをそろえることなどが必要になる。今後のスケジュールは未定だが、国と調整しながら準備を進める方針。

南東北グループは東日本大震災からの復興補助金を活用し、2015年11月にBNCT研究センターを開所した。中性子線を発生させるため小型で安全性の高い加速器を利用している。

19年6月にはBNCTに関連した薬剤の研究などを進める「南東北創薬・サイクロトロン研究センター」を開所した。今後、医療関係者や研究者との交流が活発になる見通しだ。

(郡山支局長 村田和彦)

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