コロナ禍のしきり デザイン評論家 柏木博
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わたしたちは、無数の「しきり」を生活の中に作っている。国境、民族、プライバシーのための多様な「しきり」。そしてミクロの「しきり」としては、自己と非自己を仕切っている免疫。「しきり」は、わたしたちの物理的・精神的システムを延命するための防御装置としてある。
「しきり」の形式は文化の差異を反映してもいる。たとえば、日本の伝統的なしきりの襖(ふすま)や障子、あるいは屏風は、欧米の強固な壁やドアとは異なっ...
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