四国電、純利益50%減 コロナで需要減、原発停止でコスト増

四国電力が29日発表した2020年4~9月の連結決算は、純利益が前年同期比50%減の116億円だった。伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)が稼働停止中で、他社から調達する電力の購入費の費用がかさんだ。再稼働を認めるかどうかの決定が広島高裁で2021年3月に出されることが決まり、長井啓介社長は記者会見で「今年度の運転再開は極めて厳しい」と述べた。

売上高は5.9%減の3510億円だった。一般家庭向けは冷房需要が増加したが、長井社長は「(事業者向けは)操業抑制のマイナス影響が続いている」との認識を示した。新型コロナウイルスによる減収額は売上高で50億円、経常利益の減益額は30億円と試算する。
伊方3号機は20年1月に広島高裁が運転差し止めを命じ、四国電力は決定の取り消しなどを求める異議を申し立てた。21年3月までの広島高裁の判断が出るまでは再稼働ができず、今年度の原発による発電量はゼロとなる見通しだ。
四国電力によると、原発停止による営業費用の増加額は4~9月期に100億円規模に上る。他社電力の購入費など160億円程度の追加費用がかかり、原発関連費など約60億円が削減された。
長井社長は「原発は極めて重要な電源であり、これまでの考え方に変わりない」と述べ、再稼働を急ぐ方向性を改めて強調した。
このほかに工事中のテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」の完成時期を1年ほど遅れるとしていたが、長井社長は「工期を5カ月短縮できる」と明らかにした。天候の影響が想定以下に抑えられ、機具の事前組み立てなど手順を見直したという。同施設の完成は21年10月の見込み。一方、工事費は直近の計画から200億円増の750億円となる。