韓国、繰り返される「政治報復」 李元大統領に懲役

朝鮮半島
2020/10/29 16:43
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【ソウル=恩地洋介】韓国大法院(最高裁)は29日、巨額収賄罪に問われた李明博(イ・ミョンバク)元大統領に懲役17年の実刑判決を下した。韓国で実刑となった4人目の大統領経験者だ。大統領への権限集中と、時の政権に寄り添い強力な捜査権を行使する韓国検察の存在が「政治報復」の連鎖を生んでいる。

韓国の李明博元大統領は近く収監される=AP

李元大統領は近く収監される。李氏は判決後に「法治が崩れた。国の未来が心配だ」とのコメントを公表した。公職選挙法違反の罪で2年の実刑判決を受けた朴槿恵(パク・クネ)前大統領とともに、直近2人の保守系元大統領が収監される異例の事態だ。

判決は李元大統領がサムスン電子から賄賂を受け取った見返りに、有罪判決を受けた同社の李健熙(イ・ゴンヒ)会長に特赦を与えたと認定した。李氏が実質的に保有する自動車部品メーカーの訴訟費用を、サムスンに肩代わりさせたことが89億ウォン(約8億円)の収賄だったと判断した。

大統領の犯罪が繰り返される背景には、国軍の統帥権や行政府の人事権を含む強大な権力の集中があると指摘される。保守と革新が激しく対立する政治風土のもと、政権交代後には前政権への厳しい追及の手が伸びる。

犯罪捜査権を独占する検察は、政権と足並みをそろえる傾向がある。李政権下では、前代の盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が不正資金疑惑の捜査を受けて自殺した。盧氏を師と仰ぐ文在寅(ムン・ジェイン)大統領が政権基盤を固めつつあった2018年3月に、李氏は検察に逮捕された。

文大統領は重要政策の一つに検察改革を掲げる。2019年には側近の曺国(チョ・グク)氏を法相に据え、検察権力にメスを入れようとした。攻防の末、曺氏はスキャンダルで起訴されたが、検察に代わって上級公務員を捜査する「高位公職者犯罪捜査処」(高官不正捜査庁)を新設する法案が成立した。

この新たな捜査機関が近く発足すれば、現行検察の権限は大幅に縮小され、大統領経験者への捜査は新組織の仕事になる。ただ、政治的中立な捜査の実現は難しいとの見方は強い。

トップは国会の推薦委員会を通じて大統領が指名する仕組みで、弁護士や判事出身者も捜査を担う。トップを選ぶ方法を巡って与野党が足元で攻防を繰り広げているが、時の政権や与党の意向に左右される組織なら、捜査も保革対決の影響と無縁ではいられなくなる。

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