深まる秋、広がる「開放感」 白馬・鬼怒川

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社会・くらし
2020/10/31 2:00
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国内観光の需要喚起策「Go To トラベル」が始まり、行楽地はにぎわいを取り戻しつつある。秋が深まり気温が下がっても、開放感のあるアウトドアには根強い人気があるようだ。山の頂上に置かれたブランコと紅葉を巡る屋根なしの2階建てバス。2カ所の観光スポットを訪れた。

■ハイジの気分に(長野・白馬)

「怖ーいっ!!」。空に向かって飛び出すように男性の体が浮き上がった。大きな声と裏腹に、ブランコを揺らす腕と体の動きはなおも力強さを増す。長野県白馬村の岩岳(1289メートル)山頂エリア。8月末に設置された「ヤッホー!スウィング」はアニメ「アルプスの少女ハイジ」の気分を味わえるなどとSNSなどで評判を呼び、多くの利用客が訪れる人気のブランコだ。

岩岳山頂でブランコを楽しむ人たち(25日、長野県白馬村)

岩岳山頂でブランコを楽しむ人たち(25日、長野県白馬村)

「久しぶりに大声を出せた」と話すのは、カラオケに行くことを自粛していたという同県松本市の30歳の男性。負けないくらい大きな声で「ヤッホー!」と叫んでいた長野市の7歳の男の子も、「気持ちよかった!」と興奮さめやらぬ表情で繰り返した。毎年夏に岩岳を訪れているという男の子の母親は、「この夏はコロナで来られなかったが、今の時期しか見られない風景がきれいでよかった」。眼下の緑、葉が色づき始めた中腹の木々、雪化粧の山々を一度に楽しむことができ、満足した様子だ。

1回500円で、利用は2分間。記者も頭に動画の撮影機材をつけブランコに乗ってみた。高さ3メートル超の大きなサイズは初めての体験だ。腰に安全ベルトを巻き付けて、勢いをつけてみた。振れ幅の大きさに驚きながらも、広がる景色に目を奪われる。そして顔にかかる冷たい風が心地よく感じられた。

山の中腹には紅葉が進む木々が見え、視線をあげると雪化粧する山肌が広がる

山の中腹には紅葉が進む木々が見え、視線をあげると雪化粧する山肌が広がる

運営する白馬観光開発(長野県白馬村)の担当者によると、ブランコが置かれる白馬岩岳マウンテンリゾートの山頂エリアは9~10月、前年比で3割以上人出が増えたという。「コロナ禍で屋外の方が安全だということから、アウトドアが積極的に選ばれているのでは」と推測している。ブランコの営業は11月8日まで。

■色づく葉を間近に(栃木・日光)

鬼怒川沿いを進むバス(24日、栃木県日光市)

鬼怒川沿いを進むバス(24日、栃木県日光市)

道の左右から広がる枝葉が頭上を覆い始め、窓の外には青い川面が広がった。鬼怒川沿いを走る屋根のない2階建ての「オープントップバス」からの風景だ。星野リゾート(長野県軽井沢町)がこの秋、日の丸自動車興業(東京・文京)から車体の提供を受け、栃木県日光市内で宿泊客向けに走らせている。高さ140メートルの川治ダムの上を通るなど、自然以外の景色も見どころだ。

木立の中、頭上を枝葉が覆う

木立の中、頭上を枝葉が覆う

「木々のざわめきや川の水が流れる音がよく聞こえて新鮮」。離れて暮らす両親らとの旅行で千葉県から訪れていた熊田樹さん(25)は車窓を見つめた。コロナ禍の状況などから春と夏には旅行の予定を組めなかったが、「Go To トラベル」の開始にも後押しされ、秋の家族旅行が決まった。この日の葉の色づきは木によってまちまち。紅葉と呼ぶには少し早い印象だったが、「色とりどりの木々が混じった山がきれい」。バスは25キロメートルの道のりをゆっくりと巡ったが、「1時間だと名残惜しい」と振り返った。

川治ダムを走る

川治ダムを走る

バスの発着点の一つにもなる星野リゾートの宿泊施設「界 川治」の木村文香総支配人は「コロナ禍の影響で修学旅行などがキャンセルになり、地域全体で観光客が減ってしまった」と話す。「地元企業と協力して、再び地域を盛り上げたい」との思いに応えた日光交通(日光市)の運転手やガイドが乗務する。利用者には地元の日光市民の姿もあるという。料金は2500円で、11月8日まで。

(写真映像部 石井理恵、森山有紗)

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