/

少年法改正、18・19歳一部厳罰化 年齢引き下げ見送り

法制審議会(法相の諮問機関)は29日、罪を犯した少年について全件家裁送致する現行法の仕組みを維持したうえで、18、19歳を原則検察官送致(逆送)する犯罪の範囲を広げる少年法などの改正要綱を上川陽子法相に答申した。法務省は2021年の通常国会での法案提出を目指す。

現行法が「20歳未満」とする適用年齢の引き下げについては結論を見送り、立法プロセスに委ねるとした。自民、公明両党のプロジェクトチームは7月、適用年齢について20歳未満で維持する案で合意しており、現行法の適用年齢は変更されない見通しだ。

18、19歳の犯罪は成人と同様の刑事手続きを取る原則逆送事件の対象を広げ、事実上厳罰化する。現行法は逆送の対象を殺人罪など故意に人を死亡させた場合に限っていたが、罰則が1年以上の懲役または禁錮にあたる罪に広げ、強盗罪や強制性交罪などが加わる。

将来の社会復帰を妨げないように本名や顔写真などの報道を禁じる規定も見直し、18、19歳は起訴(略式を除く)された段階で解禁する。

一方、刑罰よりも少年の立ち直りを重視する少年法の理念に基づき、現行法の全件家裁送致は維持する。家裁の調査官が家庭環境や生育歴を調べ、非行に至った経緯などを明らかにすることが「更生につながっている」とする意見を尊重した。

また懲役刑と禁錮刑を一本化して新たに「新自由刑」(仮称)を創設する。刑務作業に加え、再犯防止に向けた指導や教育プログラム、就業・修学指導を柔軟に導入できるようにし、特に若年受刑者(おおむね26歳未満)の更生に役立てる狙いがある。

●賛否両論で折衷案

 民法の成人年齢の引き下げに合わせ、少年法の適用年齢を現行の20歳未満から18歳未満に引き下げるべきか。法制審の要綱は最大の焦点だった引き下げの是非の判断を見送る一方、18、19歳の犯罪について一定の厳罰化に踏み切った。

引き下げの是非が法制審に諮問されたのは2017年2月。22年4月に18歳に引き下げられる民法上の成人年齢と整合性を図る狙いがあったが、「犯罪の抑止力になる」「更生を阻害する」などと賛否が分かれた。議論の取りまとめは難航し3年半かかった。

このため要綱は現行制度の全件家裁送致の仕組みを維持した上で、18、19歳の処遇をなるべく成人に近づける「折衷案」となった。適用年齢引き下げの是非を含め、時代に合う少年法のあり方について世論の動向を見ながら今後も議論が続く。

●少年刑法犯、10年間で4分の1

 警察庁によると、2019年に刑法犯で摘発した14~19歳の少年は1万9914人で16年連続で減少した。10年(8万5846人)の4分の1以下の水準になり、摘発人数の減少幅は同じ期間の20歳以上(27%)よりも大きい。

19年に摘発された少年の罪種別では窃盗が54.3%と最多で、傷害や暴行などの粗暴犯が17.5%、殺人や強盗といった凶悪犯が2.3%だった。一方、特殊詐欺事件で摘発された少年は507人と、10年(51人)と比べて約10倍になった。

少年犯罪の全体的な減少について、警察幹部は「暴走族や不良グループの取り締まりが奏功したほか、地域の防犯活動の強化などで万引きや自転車盗も少なくなった」と話す。

ただ少年犯罪に対する世間のイメージは実態とは差がある。内閣府の15年の世論調査で「少年による重大事件が増えた」と回答した人は78%と、5年前の調査に比べ3ポイント増加。少年の性格について「すぐキレる」「他人とのコミュニケーションがうまくできない」といった回答が目立った。

15年には川崎市の多摩川河川敷で少年らに中学1年の男子生徒が殺害される事件や、愛知県刈谷市で男子高校生が知人の少年らに暴行され死亡した事件があった。発生数は多くはないが、こうした重大事件により少年犯罪の印象が悪化しているという見方もある。

すべての記事が読み放題
まずは無料体験(初回1カ月)

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン