スペインで結果残すために戦う 日本代表は「ご褒美」

10月3日のエルチェ戦で左足太もも裏側を痛めた。34歳にして初の肉離れ。全治2週間と診断されたが、10日ほどして痛みは消え、練習に復帰できそうになった。が、少し負荷をかけると痛みが再発。こんな簡単に再発すること、さらなる痛みに怖さを感じた。
スペイン2部リーグで優勝、1部に昇格してスタートした今季。開幕前の準備期間は短かったけれど、僕のコンディションは非常に良い状態が続いていた。だから、少し油断があったと今は反省している。
新型コロナ感染対策の一環で今、クラブハウスの使用は制限されている。自宅から車で練習場へ向かうと車内で練習着に着替え、トレーニング。終わるとそのまま帰宅していた。練習前後の体のケアを怠っていたから、筋肉の変化にも気づかなかったのだろう。
僕は数年前から、日本にいるトレーナーと自宅でリモート・トレーニングを行っている。体のケアだけでなく、体の仕組みについても学ぶ時間になっている。もう二度と同じ負傷はしたくない。何週間もサッカーができないなんて我慢できない。肉離れは、これを最初で最後にしたい。
負傷した直後、内田篤人からメッセージが届いた。「全治からプラス1、2週間は復帰にかかると思っておいたほうがいいよ」
「俺の場合、トータルで1カ月もアカンの?」
最初は「大げさやな」と思えたが、ウッチーの言葉に嘘はなかった。
結果的にそのケガで辞退したが、日本代表の10月のオランダ遠征に呼ばれた。さすがに初招集の時のような驚きはなかったけれど、ウエスカの監督、チームメート、スタッフの皆がすごく喜んでくれ、初招集に似た感情を呼び覚ましてくれた。親善試合に呼ばれて「おめでとう」と言ってもらえるのも新鮮だった。
ウエスカに移籍した際、すべてを一度リセットした状態でスタートしたいと考えていた。代表に関しても同じ。それだけにクラブで試合に出て、結果を評価されての今回の招集には誇りを感じる。ベテランの経験値を買われてのことだったら、きっとこんなには喜べなかった。代表には常にピッチ上で仕事ができる選手として呼ばれたいし必要とされたい。その上で、そこでも結果を残したい。
自分が不在の代表戦を見ながら「ここでプレーできていたら楽しかったな」と思った。同時に「代表の一員として戦いたいからサッカーをやっているんだ」との思いを新たにした。
代表のためにサッカーをやっているわけじゃない。スペインで結果を残すために戦っているというスタンスは変わらない。その延長線上の先に、代表は"ご褒美"としてあるというか。どちらでも必要な戦力の一人となるために、日々を戦っているんだ。
(ウエスカ所属)