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3歳世代は低水準? 三冠馬2頭に評価覆す走り期待

2020/10/31 3:00
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25日に競馬の菊花賞(G1)が行われ、2020年の牡牝の3歳三冠レースがすべて終了した。菊花賞はコントレイル(牡、栗東・矢作芳人厩舎)が制し、史上3頭目の無敗三冠馬となった。牝馬ではデアリングタクト(栗東・杉山晴紀厩舎)が18日の秋華賞(G1)を優勝。史上初となる無敗での牝馬三冠を達成した。

牡牝同時に三冠馬が出現するのは史上初で、いずれも無敗という歴史的なシーズンとなった。ただ、20年の3歳世代は低水準ではないかと指摘する声も多い。三冠馬2頭は年長馬とぶつかる今後の走りで、世代全体の低評価を覆したいところだ。

■首差の苦しい戦い、底力で押し切る

コントレイルは2着馬と首差という苦しい戦いとなった菊花賞を底力で押し切った。血統的にみて菊花賞の距離3000メートルは明らかに長いうえに、道中は2着馬が徹底的にマークしてくる厳しい展開だった。それでも勝ったのは類いまれな能力があるからだろう。

年長馬との戦いが始まるこれからが「新たなスタート」と言う主戦騎手の福永祐一は、「日本で一番強い馬という称号を得るために一緒に頑張っていきたい」と今後の抱負を語った。

秋華賞のデアリングタクトは序盤、後方からレースを進めた。道中、徐々に位置取りを上げていき、第3コーナーを過ぎてさらに加速。最終コーナーで先頭集団に並びかけると、最後の直線もしっかりと脚を使って抜け出した。横綱相撲といえる内容で偉業を遂げた。

道悪で伸びてきた1冠目の桜花賞(G1)、最後の直線の決め手勝負で抜け出してきた2冠目のオークス(同)、息の長い末脚を使った秋華賞と、どんな状況にも対応。今後の年長馬との対戦でも通用するだけの能力の高さをみせた。主戦騎手の松山弘平も「他にもたくさん強い馬はいるが、引けを取らない。良い戦いをしてくれると思う」と年長馬との対戦への見通しを語る。

騎手の松山はデアリングタクトについて、年長馬相手にも「引けをとらない」と語る=共同

騎手の松山はデアリングタクトについて、年長馬相手にも「引けをとらない」と語る=共同

両馬が年長馬との対戦を迎えるにあたり、気になるのは20年の3歳世代全体の水準である。夏ごろから「今年の3歳馬は低レベルなのではないか」という指摘が聞かれ始め、いまではその評価が定着しつつある。

本当に3歳世代の水準は低いのか。年長馬との混合戦(障害を除く)での3歳馬の連対率をみると、混合戦が始まった6月から菊花賞の週までの期間で21.9%。前年同期の21.1%と比べても良い数字を残している。クラスごとにみても、2勝クラスでは28.2%と前年同期の28.0%よりも高く、3勝クラス以上のレースでは30.8%と、前年同期の22.4%を大きく上回る。

■年長馬との混合重賞で初勝利遅く

それではなぜ、3歳馬のレベルが低いという見方が定着しつつあるのか。要因の一つとして、年長馬との混合の重賞で3歳馬の初勝利が遅かったことが考えられる。20年はカフェファラオ(牡、美浦・堀宣行厩舎)のシリウスステークス(G3、中京ダート1900メートル)が初めての勝利で、10月3日だった。19年は7月21日、18年は8月12日と20年よりも早く、16、17年は6月中に重賞勝利を挙げた。

もう一つの理由は前例だろう。過去に牡の三冠馬が出た年は他の3歳馬のレベルが低く、三冠馬の1強状態だったことも多かった。例えば、ナリタブライアンが三冠を達成した1994年、ディープインパクトの2005年は三冠レース(皐月賞、日本ダービー、菊花賞、いずれもG1)の2~5着馬の中に、その後G1を勝った馬がいなかった。

オルフェーヴルが三冠馬になった11年のように、三冠レースの上位馬から、後にG1を勝つ馬が複数出た年もある。しかし、20年はコントレイルに歯が立たないライバルたちの姿を、春から繰り返し目にしてしまった。05年などと同様、他の3歳馬のレベルが低くみえても仕方がない。

■混合重賞で2勝、ようやく上昇気流に

ただ、年長馬との混合重賞で苦戦してきた20年の3歳世代も、ようやく上昇気流に乗り始めたようだ。皐月賞とダービーで2着に入ったサリオス(牡、美浦・堀宣行厩舎)が、10月11日の毎日王冠(G2、東京芝1800メートル)で優勝。これで今年の3歳馬による、混合重賞での勝ち星は2つとなった。

近年の混合重賞での3歳馬の勝利数をみると、17、19年は菊花賞の週までに2勝、16、18年は3勝だった。9月までの段階では、20年の3歳世代の成績は見劣っていたが、10月以降は例年の水準にまで持ち直してきた。混合重賞での連対率も菊花賞終了時点で18.2%と、9月末までの9.1%から改善。前年同期と全く同じ数字を記録するまでになった。

3歳馬が混合重賞でも結果を出し始めるなか、コントレイルとデアリングタクトが年長馬相手に好走できれば、3歳世代全体の低評価を覆せるかもしれない。デアリングタクトの次戦は11月29日のジャパンカップ(G1、東京芝2400メートル)。コントレイルも同レースを視野に入れる。コントレイルの矢作調教師が「(菊花賞が)厳しいレースだったので、馬の状態を慎重に見極めたい」と話すなど、両馬そろっての参戦には不透明感も残るが、3歳世代の水準を評価するのは、2頭が年長馬と初対戦を済ませてからでも遅くはない。

(関根慶太郎)

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