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デマ信じ中傷、重い代償 名誉毀損で投稿者立件も

 公判への思いを語る石橋建設工業社長の石橋秀文さん(8月、北九州市)=共同

2017年に起きた東名高速道のあおり運転事故で、被告の勤務先だとインターネット上にデマを流された会社社長の男性の元に、投稿者から謝罪文が届いた。名誉毀損罪に問われた別の投稿者の裁判が29日、福岡地裁小倉支部で始まるのを前に、男性は「次の被害を生まないよう、裁判が教訓になってほしい」と訴える。

事故は17年6月、神奈川県の東名高速道路で、あおり運転を受けた夫婦が死亡。石橋和歩被告(28)=自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪で公判中=の逮捕が報じられると、北九州市の石橋建設工業が勤務先だとのデマが流れた。

被告は同じ名字で建設作業員、居住地が会社に近い――。そんな理由でデマを信じた人たちから誹謗(ひぼう)中傷の電話が100件以上あった。社長の石橋秀文さん(50)は「脅迫まがいの内容もあり、家族が心配で子どもには学校を休ませた」。

福岡県警は名誉毀損容疑で11人を書類送検した。「ネット上のうわさを信じ、勤務先も許せないと思った」などと供述したとされる。

18年9月、そのうち1人の男性=不起訴=から石橋さんに謝罪の手紙が届いた。そこには「自分だけは惑わされるはずがないと、根拠のない自信を持ってしまった」「もし私の家族がそのような事態に突如見舞われたらどうなるか想像すると、自分の軽率な行為がどれだけ重大な結果を招いてしまったのかと反省してもし切れない」とつづられていた。石橋さんは許したい気持ちもあるが、当時の苦しさを思い返すと複雑になるという。

ネットのデマ被害は深刻だ。今年5月には、人気リアリティー番組に出演し、SNS(交流サイト)で中傷を受けていたプロレスラーの木村花さん(当時22)が死去。石橋さんは「デマの怖さを知り、誰もが自分の発信に責任を持つ社会になってほしい」と話している。

名誉毀損事件では29日、埼玉県川越市の小売店従業員、杉浦明広被告(53)の初公判が開かれる。ほか男性5人が罰金30万円の略式命令を受けた。また謝罪文を送った男性とは別の無職男性が今月、検察審査会の議決を踏まえ、検察の不起訴処分を覆して強制起訴されている。〔共同〕

インターネット上の人権侵害、9年で3倍に


 プライバシー侵害や名誉毀損といったインターネット上の人権侵害は増加している。相談を受けている全国の法務局が2019年に救済手続きに入ったケースは1985件で、10年(658件)の約3倍だった。近年1500~2000件ほどで高止まり傾向にある。
 19年の事例では公共交通機関に乗っていた小学生の息子の動画がネット上に掲載されているとして母親から相談があり、法務局から動画投稿サイトなどに削除要請した。SNS(交流サイト)で本人になりすましたアカウントが作られ、名前や顔の画像が掲載されたケースもあった。
 ネット上での中傷被害が相次ぐ中、総務省は中傷を受けた被害者が投稿者を特定しやすくするための制度の見直しを進めている。

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