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規模の利益 評価二分 都構想、コスト増か効率化か

大阪市を廃止して4つの特別区を設置する「大阪都構想」を巡り、市の分割が行政コストにどう影響するかが論争になっている。都構想反対派は規模縮小でスケールメリットが失われ、コスト増になると指摘。賛成派は適正規模となって行政が効率化され、歳出削減できると主張しており最終盤の争点として浮上してきた。

国は自治体への地方交付税交付金について、標準的な行政サービスを想定した費用「基準財政需要額」を基に算出する。人口規模が大きくなればスケールメリットがはたらくとし、交付額を安くする「段階補正」の仕組みがある。市によると、2020年度の大阪市の需要額は6940億円。4特別区に再編されても、合計額は段階補正後の大阪市の水準が維持される。

市財政局は、大阪市の人口を4分割した約67万3千人の自治体の需要額を試算。4自治体合計で7158億円となり、市の現行水準を218億円上回ると試算した。都構想に反対する自民党大阪市議団の幹部は「本来、必要な交付金額より少ないということで、住民サービス低下につながる」と主張する。

しかし、財政局の試算は4自治体を特別区ではなく政令市として計算しているほか、消防などの業務を府に移管するとの制度案が反映されていない。市財政局は「非常に粗い試算だ」と説明する。

府・市でつくる副首都推進局が公表した特別区の財政シミュレーションは、システム改修や庁舎整備費などを考慮しても15年間は各区で黒字を確保できるとする。都構想を推進する大阪維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は市財政局の試算について「政令市と特別区は仕事が違うから需要額も違う。比較対象にならない」と指摘する。

賛成派が後ろ盾にするのは、府・市の委託で都構想による歳出削減額や経済成長などを分析した嘉悦学園(東京)の報告書だ。人口規模が一定水準を超えると行政効率が悪化して歳出が増えると指摘。最適な規模は人口50万人前後と推計し、大阪市を60万~75万人の特別区に分割すれば年約1100億円の歳出削減ができると算出している。

一橋大の佐藤主光教授(財政学)の話 大阪市財政局の試算も嘉悦学園の報告書も、一つ一つの業務のコストを足し上げたわけではなく、実態に合った数字とは言いにくい。現時点で府と特別区の細かい役割分担が決まっていない以上、厳密にコストを示すのは難しいだろう。

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