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韓国経済、V字回復は遠く 内需低迷 7~9月期プラス

【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の7~9月期の実質国内総生産(GDP、速報値)が前期(4~6月期)比で1.9%増と、3期ぶりにプラスに転じた。中国の景気回復を追い風に、半導体や自動車などの輸出が回復した。だが、韓国政府の財政出動にもかかわらず国内景気は振るわず、2020年通期ではマイナス成長の見通しだ。「V字回復」はまだ遠い。

ソウルの繁華街、明洞では人通りが少なくなり、空き店舗が急増する

「経済は正常化に向けた回復軌道に乗った」。洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は27日の会議で、3期ぶりのプラス成長を高く評価した。

けん引役は輸出だ。産業通商資源省によると、9月の輸出は前年同月比7.7%増の480億ドル(約5兆300億円)で、新型コロナウイルスの感染拡大後では、初めてプラスに転じた。主力の半導体が12%増、自動車が23%増と、それぞれ2ケタ伸びた。

輸出先の国・地域別では最大の貿易相手国の中国が8%増、米国は23%増えた。旧暦の連休時期が前年と異なり、営業日が多かったこともあるが、10月も20日時点で半導体、コンピューターの輸出が2ケタ伸びている。

企業業績も回復基調にある。サムスン電子の7~9月期決算は半導体やスマートフォン、ディスプレーが好調で営業利益は7四半期ぶりに10兆ウォン台を回復した。現代自動車はリコール費用の計上で最終赤字を計上したが、世界販売台数が9月から前年同月比でプラスに転じ、増収を確保した。

課題は内需だ。消費は0.1%減と、前期(1.5%増)からマイナスに転じた。減少傾向にあった新型コロナの感染者が8月中旬から増加に転じ、政府が防疫体制を強化したことが影響した。

ソウルなど首都圏の飲食店は午後9時以降の営業が事実上できなくなった。消費者は外出を控え、買い物やレジャーなどの支出を抑えた。洪副首相は「コロナの感染再拡大がなければ7~9月期は2%台半ばの成長も可能だった」と悔やんだ。

韓国は徹底した防疫と積極的な財政出動で、新型コロナによる経済の落ち込みをある程度は食い止めてきた。国際通貨基金(IMF)が13日に公表した世界経済見通しによると、韓国の20年通期の成長率はマイナス1.9%で、20カ国・地域(G20)では中国、インドネシアに続き、景気への悪影響が小さかった。

一方、積極的な財政出動による景気下支えは限界との指摘もある。韓国政府は20年、4度にわたる総額67兆ウォン(約6兆2300億円)の補正予算を編成した。国民や商工業者、自営業者に緊急災害支援金を支給した。

韓国銀行(中央銀行)が毎月発表する消費者心理指数は4月を底に8月まで改善が続いたが、9月に再び悪化した。10月に防疫体制が緩和され、再び改善に向かう可能性もあるが、客足が遠のいた繁華街では飲食店や小売店の空き店舗が目立つ。

今後の財政悪化を懸念する声も目立つ。韓国の政府債務残高は直近で847兆ウォンで、GDP比は44%に上昇した。韓国政府はこの比率を40%以内に抑えるように財政を運営してきたが、10月には上限を60%に緩める財政準則を発表した。

GDPの2倍を超える日本に比べれば低い水準だが、1997年の通貨危機で極めて大きな打撃を受けた韓国は政府債務の増加に敏感だ。野党や識者は、政府支出の拡大が将来、増税につながり、消費や投資の萎縮要因になると批判し始めた。

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