老いる工場に淘汰の波、ENEOS知多停止 雇用に追い打ち

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環境エネ・素材
2020/10/27 19:00
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生産停止が決まったENEOSの知多製造所(愛知県知多市)

生産停止が決まったENEOSの知多製造所(愛知県知多市)

ENEOSが27日、知多製造所(愛知県知多市)の生産を2021年10月をめどに停止すると発表したことを受け、地元の経済界には動揺が広がった。配置転換で従業員の雇用は守るとするが、同社の製造拠点は中部にない。中部には操業開始から50年近くたち、老朽化した工場が多い。最新鋭で規模のメリットを前面に出す海外工場との競争が激化する中、今後も淘汰が続く可能性がある。

ENEOSの大田勝幸社長は27日、知多市で記者会見を開き、「石油化学製品を巡る国際競争の激化で存続が難しくなった」と撤退理由を説明した。知多市商工振興課は「市との結びつきは長く非常に残念だ。跡地を有効活用して地域の安定雇用につなげてもらいたい」と述べた。

新型コロナウイルスの感染拡大で中部の雇用環境は厳しさを増している。製造所に勤務する181人の従業員について「雇用を守るのを大前提に配置転換で対応する」(大田社長)とした。製油所や製造所は全国に散らばるが、中部地域にあるのは知多のみだ。家庭の事情で遠方に移れない人などへの配慮が必要になりそうだ。

生産設備の一部は土地や建物を含めて近隣に製油所を構える出光興産に売却する。これに伴い「従業員の一部が出光に移る可能性もある」(大田社長)という。どの設備を売却するかといった交渉はこれからとしている。

製造所の敷地はナゴヤドーム27個分に相当する130万平方メートルもある。一部は出光の所有になるが、残った土地の活用方法は決まっていない。大田社長は「太陽光パネルを設置してエネルギーを供給するなどいろいろと活用方法はある」と話した。

知多製造所はENEOSの前身のひとつ、旧東亜共石の名古屋製油所として1973年に操業した。2001年に原油処理設備を休止し、石油精製から撤退。石油化学品などの製造に特化し、ペットボトルの基になるパラキシレンなどを造ってきた。

風向きを変えたのが中国での最新鋭の大型化学工場の稼働だった。世界的な供給増で石油化学品の市況が悪化。知多製造所の採算は18年度まで黒字だったが、19年度に赤字に転落した。自社設備で原料のナフサを造れず、輸入ナフサに頼るのも採算悪化に拍車をかけた。「今後も赤字は続くという前提で(事業所の)停止を決めた」(大田社長)という。

記者会見するENEOSの大田勝幸社長(27日、愛知県知多市)

記者会見するENEOSの大田勝幸社長(27日、愛知県知多市)

三大工業地帯のひとつ、中京工業地帯には日本の高度成長期を支えた工場が立ち並ぶ。化学コンビナートや製鉄所、火力発電所が集積する知多は代表例だ。いずれも老朽化は進んでいる。国際競争に押され、汎用品を造る工場などの撤退が今後も続く可能性はある。

愛知県の大村秀章知事は27日の会見で「県は地域の雇用に責任を持っており、(ENEOSと)よく相談しながらやっていければと思う」と話した。

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