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ウクライナ地方選で与党苦戦、東部紛争解決に逆風

【モスクワ=小川知世】ウクライナで2019年に就任したゼレンスキー大統領の与党「国民の奉仕者」への支持が陰り始めた。25日に実施された統一地方選では主要都市の市長選でいずれも与党候補が敗北する見通しとなった。ゼレンスキー氏の求心力の低下は東部で続く親ロシア派武装勢力との紛争解決にも逆風となる可能性がある。

ウクライナの統一地方選で投票するゼレンスキー大統領(25日、キエフ)=ロイター

統一地方選では各地の市長や地方議員を選ぶ。「国民の奉仕者」が支持を得て、地方基盤を固められるかが焦点だった。出口調査によると、首都キエフや西部リビウなど主要都市の市長選はいずれも現職が優勢で、国民の奉仕者の候補は上位2候補による決選投票にも進めないとみられる。

地方議会選でも与党の苦戦が伝えられる。選管の開票結果は数日中に判明する。投票率は37%で、15年の前回統一地方選の47%から低下した。親ロシア派が占領する東部地域では投票が実施されなかった。

ウクライナ誌ノーボエ・ブレーミャ(電子版)は26日「国民の奉仕者が市長選で敗退」と総括した。もともと現職や地方政党が強いとされる地方選の特性を考慮しても、「印象的な結果を残せなかった」と伝えた。

背景にはゼレンスキー氏の支持率の低下がある。タレント出身の同氏は19年春の大統領選で圧勝し、19年7月の議会選では国民の奉仕者が過半数の議席を獲得した。調査会社レイティングの世論調査によると、一時7割を超えた同氏の支持率は徐々に落ち、9月に29%に下がった。与党の支持率も2割を下回った。

国民の高い期待に反して、生活改善や汚職対策で成果を示せていないことが支持低下を招いたと識者や外交筋はみる。新型コロナウイルスに伴う経済の悪化も響いた。

与党内ではこれまでも意見の対立がみられ、議会での法案通過に野党と連立が必要な事例がでているという。政治評論家のフェセンコ氏は「地方選の不振を受けて、野党や財閥トップが議会で与党の切り崩しを試みる可能性がある」と政権に与える影響を指摘した。

ゼレンスキー氏にも焦りが透ける。地方選の投票と同時に世論調査の実施を決めた。同氏が掲げる直接民主主義を演出し、今後の政策決定へ国民の反応を探ったとみられている。「重大な汚職への終身刑の適用」「東部紛争地域での自由経済圏の創設」などに賛否を問う内容で、野党は法的根拠がないと批判した。

最大の課題である東部紛争の解決も展望は見えない。7月下旬に発効した停戦合意は比較的守られているが、和平に向けたウクライナとロシア、仲介役の独仏による4カ国首脳会談の次回開催のめどは立っていない。

ロシアのプーチン大統領は14日の閣議で「ウクライナとの協力関係を回復する用意がある」と表明。地方選を前にロシア寄りの政党「野党プラットフォーム―生活」の支持の下支えを図った。政権基盤の弱体化が進めば、ロシアとの和平交渉もさらに難航しかねない。

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