/

この記事は会員限定です

離婚夫婦、財産はどう分ける? ローン・退職金も対象

離婚とお金(上)

[有料会員限定]

「だったら、結婚しなければよかったのに」。筧家のダイニングテーブルで娘の恵が愚痴をこぼします。上司が離婚して職場で腫れ物を触るように接しているとか。「離婚は結婚より大変というね」と良男。「特にお金の問題が面倒なのよ」と幸子もうなずきます。

筧(かけい)家の家族構成筧幸子(48)良男の妻。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。筧良男(52)機械メーカー勤務。家計や資産運用は基本的に妻任せ。筧恵(25)娘。旅行会社に勤める社会人3年目。筧満(15)息子。投資を勉強しながらジュニアNISAで運用中。

良男 「コロナ離婚」という言葉を聞くけど、恵の上司もそうなのかい?

 新型コロナウイルスの感染拡大で家で過ごす時間が増えたのが原因というから、コロナ離婚でしょうね。家事分担や子どもの世話とかでもめて「もう一緒にはいられない」って。

幸子 以前から不満はあったのかもしれないけど、コロナが離婚の引き金となったようね。私だってパパが在宅勤務で家にいて、こっちが忙しいのに「腹が減った」なんて無神経に言われるとむっとするときがある。

良男 ドキッ。ところで最近の離婚の傾向はどうなの?

幸子 厚生労働省の人口動態統計によれば年間の離婚件数は約21万組。結婚件数が約60万組だから、その年に結婚した3組に1組が離婚するといわれるわ。2019年は4年ぶりに離婚が増えたけど、150組程度の微増。02年の約29万組をピークにトレンドは減少傾向ね。

 熟年離婚が増えていると聞いたけど。

幸子 同居期間別に見ると、離婚件数が最も多いのは5年未満の人たちだけど、10~19年で2万件近く減ったの。5年以上10年未満、10年以上15年未満も減った。そんな中で20年以上が増えているのよ。しかも35年以上に絞れば、19年は約6300組で過去最多となった。

良男 ちなみに離婚の際はどうやって財産を分けるの?

幸子 離婚時に直面するお金の問題はいろいろあるけど、まずは財産分与から説明するわね。夫婦の財産は「共有財産」と「特有財産」に大きく分かれる。結婚後に夫婦で築いた財産を共有財産といい、主に結婚前に持っていた財産のことを特有財産というわ。財産分与はこの共有財産をそれぞれの貢献度などに応じ、2人で分けるのよ。

 不動産や預貯金など財産はいろいろあるけど、名義がどちらか一方のものもあるよね。

幸子 共有財産に名義は関係ない。不動産や預貯金のほか、株式や生命保険、自動車や貴金属など、結婚後に2人が入手したものが対象よ。借金などのマイナスの財産も通常は含みます。家を買うときに組んだ住宅ローンなどがその代表ね。

良男 割合はどれぐらい?

幸子 現在は原則2分の1ずつが基準よ。夫婦でもめて裁判までいったときの判例に基づいているの。でも離婚の9割は夫婦で話し合って決める協議離婚だから、2人が納得すれば折半でなくていい。話し合うと2分の1がベースになりそうだけど、離婚問題に詳しい行政書士・税理士の藤原文さんは「慰謝料の対象となるものや養育費などがあれば勘案し、どちらかがもう一方に多めに渡すこともある」と言うわね。

 慰謝料の話も出たけど、たくさんもらえるのかしら?

幸子 慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償金。暴力や不貞行為が典型だけど「金額に明確な基準はなく多くても200万円程度。性格の不一致や価値観の違いが理由では請求できないことがほとんど」と弁護士の中里妃沙子さんは言っていたわ。

良男 そんなにもらえないんだね。じゃあ、財産分与ではいくらぐらいもらえるの?

幸子 共有財産の大きさでばらつきがありそう。司法統計には調停・審判離婚の財産分与の支払額が出ていて、19年度は100万円以下が24%で最も多く、400万円以下で半分近くを占めた。婚姻期間が長くなると、財産分与で手にする額も増える傾向にあり、例えば25年以上の婚姻期間の場合は、600万円を超える財産分与の取り決めが4割を超えていた。

 家はどうするかでもめそうね。住宅ローンが残っているとなおさら大変そうだけど。

幸子 2人とも住まないなら売って売却額を折半すればいい。ローンが残っていても売却額が残額を上回るなら完済して残った金額を分けられる。問題は評価額が残債を下回るオーバーローン。ローンを完済して抵当権を外さないと売れないので通常は分けることが困難になる。一方が住んでローンを払い続けることになりそうね。

良男 売却せず、どちらかが住み続ける場合もあるよね。

幸子 家の名義もローンの債務者も夫の場合、夫が住み続けるなら夫がローンを払えばいいの。妻が住んで夫が出て行くなら夫がローンを払い続けるか、妻が債務者となりローンを払うかのどちらか。いずれも金融機関の了解が必要なの。藤原さんは「妻が債務者になるには安定的な職業に就いて経済力があることが不可欠。難しければ金融機関に相談し、債務者は夫のままで、妻は夫にローンに見合う額を払うという選択をした夫婦もいる」と話していたわ。

 複雑だね。専門家に相談し、よい手段を選びたいわ。

幸子 離婚すると財産が半分になるなど生活水準も下がるので、別れる前から離婚後の仕事や収入をきちんと考えておきたいわね。DVなどの被害があれば別だけど、早く別れたいからって十分な話し合いもせず、離婚届を出すのは禁物。財産分与の期限は離婚後2年以内で、それを過ぎると請求できないことも知っておきたいわね。

中高年の会社員、退職金も対象


弁護士 中里妃沙子さん
 新型コロナが離婚を後押しする事例が6月以降、確かに出ています。離婚時は夫婦で財産を2分の1ずつ分けるのが基本。以前は夫名義の財産や金額が多かったので、夫が妻に財産を渡すようなイメージでしたが、最近では共働きで妻の方が収入が多く、妻名義の財産が多いため、妻が夫に財産を渡すケースもあります。
 注意したいのは退職金です。40代以降など中高年の離婚では財産分与の対象になります。夫が会社員などの場合は別居時に退職したと仮定して金額を算出、それを妻と2分の1ずつ分けることになります。その時点でまだ手にしていない退職金ですが、相当する金額を妻に渡さなければなりません。生命保険も解約したと見なして解約返戻金に相当する額の半分を渡すか、実際に解約して返戻金を折半するかのどちらかです。(聞き手は土井誠司)

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り57文字

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン