エトピリカ、数つがいに 減少止まらず保護団体警鐘
オレンジ色の大きなくちばしで知られる海鳥エトピリカの生息数減少に歯止めがかからない。環境省によるとロシアが実効支配する北方領土を除くと、北海道根室市の無人島のユルリとモユルリで数組のつがいが確認されるだけとなっている。同省のレッドリストで絶滅危惧種とされ保護活動が行われているが、保護団体からは「もはや手遅れ」との声が上がる。

生息域は北太平洋沿岸に広く分布しているが、国内では1970年代から生息数が激減し始めた。北海道大は調査で、2015年時点で1980年比87%減と推定する。
営巣地だった浜中町・小島では2008年を最後に繁殖が確認できなくなった。同町で保護活動を続けるNPO法人エトピリカ基金の片岡義広理事長(72)は、これまでにエトピリカを呼び寄せるべく小島に60体以上のデコイ(おとりの模型)を設置した。
海に潜って魚を食べるエトピリカが混獲されるのを防ぐため、環境省などと漁業者に刺し網の使用自粛を呼び掛け、06年に浜中漁協によるカレイ刺し網の禁漁区の設定にもこぎ着けた。
だが生息数はその後も減少。温暖化による海水温上昇で餌の魚が減ったことなどが考えられるが、はっきりとした理由は分かっていないという。片岡さんは「水族館からひなを譲り受け放鳥することも検討したい」と話している。
〔共同〕