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ドライミスト、ぬれた感ない粒子(古今東西万博考)

2005年・愛知

愛知万博の会場で活躍したドライミスト

霧状の水を空中に散布して気温を下げる装置「ドライミスト」。近年市街地やテーマパークで導入が進んでいるが、初登場の舞台となったのが2005年の愛知万博(愛・地球博)だ。植物の蒸散作用に着想のヒントを得たというこの装置は、「自然の叡智(えいち)」をテーマとした愛知万博の暑さ対策として注目を集めた。

水の粒子が気化して周囲の熱を奪い、気温を2~3度下げる。エネルギー消費はエアコンの5%ほど。ヒートアイランド対策として03年から経済産業省の支援事業に採択されて研究・開発が進み、「環境先進技術」と銘打ち万博での披露にこぎつけた。開発を主導したのは建築防火学を専門とする名古屋大の辻本誠名誉教授。「樹木の蒸散によって森林がひんやりとする現象を、消火用に開発されてきたミスト技術によって人工的につくりだした」という。

類似のミスト装置は以前からあったが、ドライミストの特徴は、水の粒子が直径0.016ミリメートルと微細で、触れてもぬれた感じがしないこと。「ドライ」と名付けられたゆえんだ。開発中の実験を通じ、不快感がなく、かつ冷却効果を実感できる水の粒径を割り出したという。

開幕当初は電気事業連合会のパビリオン周辺のみに設置されたが、会期中にメイン通路「グローバル・ループ(空中回廊)」とオーストラリア館への追加設置が決定。最高気温39度を記録した万博会場に涼を届けた。

閉幕後、ドライミストは自治体の支援事業などで全国に拡大し、観光客でにぎわう大阪城などでも活躍。農業ハウス内の温度調整や鉄道のレールの冷却装置に活用されており、用途の幅も広がっている。

(高橋直也)

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