今食べたの何カロリー? 自動で測る「腕時計」試した

日々進化する計測技術。人工知能(AI)の台頭もあり、測定したデータの解析精度はここ数年で大幅に向上した。こうした技術革新を背景とし、注目の機器が次々と登場している。今回は、その中から食事や体重管理に役立つ、独自の計測機能を持つ2製品を2回にわたって紹介する。
摂取した食事のカロリーを自動計測
今回紹介する製品は、米国のスタートアップHEALBE(ヒルビー)が開発した「GoBe3」という腕時計型の活動量計(スマートバンド)。10月から国内での一般販売が始まった。メーカー希望小売価格は2万9700円(税込み)だ。
一般に活動量計は、歩数や消費カロリー、睡眠時間に睡眠の質、心拍数などを計測し、健康管理に役立てるという製品。このGoBe3は、それらの基本的な計測機能に加えて、水分バランス、ストレスレベル、そして摂取カロリーまで自動計測できる機能を搭載した。特に最後の摂取カロリーの自動計測は、数ある活動量計の中でもGoBe3だけが備える独自の機能だ。
ダイエットに欠かせない食事管理。何を食べたのかという記録はもちろん、毎食のカロリー量まで計算している人も多いだろう。しかし、自分でカロリー量を調べるのは意外と大変だ。筆者自身、食事内容からおおよそのカロリー量を計算できるスマホアプリを使い、毎日の食事のカロリー量を記録したことがある。このときは3カ月ほど頑張って記録を続け、確かに体重も減った。だが、いつしか記録することをやめてしまい、体重も元に戻ってしまった経験がある。もし摂取カロリーを自動計測してくれるなら、これほどありがたいことはない。
なぜ食事内容を自ら登録しなくても、摂取カロリーを計測できるのか。メーカーによれば、食物を消化して栄養素を吸収する際、血糖値の上昇や細胞のグルコース吸収と、細胞内液の排出といった反応が起こる。GoBe3は、この細胞内液の排出レベルを計測できるセンサーと、特許を持つテクノロジーを組み合わせて摂取カロリーを算出するという。精度は高く、第三者機関による検証で89.6%正確という結果を得ているそうだ。


自動計測の実力は? 10日ほど試してみた
個人的にも気になるGoBe3を今回、いち早く検証する機会を得たので、レビュー形式で紹介しよう。まず製品の第一印象だが、やや厚みのあるスポーツウオッチといった感じ。計測精度を高めるには、肌に密着させ、かつ1日22時間以上の装着が求められる。背面のセンサーが常に動作しているため、満充電しても1日たつとバッテリー量が20%程度まで減ってしまうなど、バッテリーの駆動時間はやや短めだ。テスト中は起床してから身支度する間や、風呂に入っている間など、隙間時間で充電しながら利用した。そうでもしなければ、バッテリー量が不安だった。

続いて、一番興味のあった摂取カロリーの自動計測機能はどうか。10日間ほどの短期テストだったが、確かに朝昼晩の食事や、午後のおやつを食べると、少し時間をおいて、何かしらのカロリーを摂取したことをGoBe3が検知する。専用アプリ上では、カロリーの消費量と摂取量をグラフ化する「エネルギーバランス」で一覧できるようになっている。
グラフからは食後にグンと摂取量が増え、逆に移動中などはカロリーを消費しているのが読み取れる。ただし、食事内容によってはセンサーが検知する状態になるまで、5~6時間かかることもある。そのためか、本来なら寝ている間に摂取量が増える状況もみられた。
実際に食べた内容とGoBe3が計測したカロリー量は、合致しているのだろうか。厳密にテストしたわけではないが、個人的な感想だと、当たらずといえども遠からずといった感じ。なぜならテスト期間中、体重は横ばいだったのに対し、GoBe3が示した摂取カロリーと消費カロリーもほぼトントンだったからだ。長期間使用してGoBe3が計測する摂取カロリーの傾向が分かってくると、体重管理の目安としては使えるだろう。
このほかGoBe3では水分バランスも計測しており、何度か水分を取るように促されることがあった。自分ではのどが渇くほどの状態ではなかったが、健康上、取ったほうがよいという判断だったのだろう。ふとした気づきをもたらしてくれるのも、GoBe3のような活動量計を使う利点だ。
昨今は活動量計やスマートウオッチで、数多くのメーカーがしのぎをけずっている。その中で摂取カロリーを把握したい人は、このGoBe3が第一候補となるだろう。個人的にはスマホに電話がかかってきたり、LINEで新着メッセージが届いたりしたことを教えてくれる通知機能は欲しかった。だが、それを差し引いても、摂取カロリーの自動計測機能は魅力的と言える。


明日の第2回は、血液中に含まれる脂質を採血することなく計測できる機器を紹介します。
(ライター 原如宏)
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