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核禁止条約21年発効も… 保有国含まれず実効性疑問視

核保有国は核戦力を安全保障の中核に据えており、核兵器廃絶への道のりは遠い(ニューヨークの国連本部)

核兵器の保有や使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約(TPNW)の発効が決まった。歓迎する声がある一方で、核保有国は核戦力を安全保障の中核に据えており、核兵器廃絶への道のりは遠いのが実情だ。日本は唯一の戦争被爆国だが、安保環境は厳しさを増しており、批准には慎重だ。

同条約を推進してきたオーストリアのクルツ首相は25日、大量破壊兵器によるリスクと永続的な脅威は容認できないとし、「私たちは核兵器のない世界という目標に近づく重要な一歩を踏み出した」とのコメントを発表した。

17年に同条約採択への功績でノーベル平和賞を受賞した非政府組織「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のベアトリス・フィン事務局長も「条約の発効で核保有国に核軍縮と将来の枠組み参加への圧力をかけられる」と期待を示す。

しかし、条約を批准した50カ国・地域には核保有国は1つも含まれず、実効性を疑問視する意見もある。

世界の核兵器の大半を保有する米国とロシアのほか、中国と英国、フランスの5カ国は現状の核拡散防止条約(NPT)の枠組みの中で核軍縮を進めるべきだとの立場だ。

AP通信によると、米国は批准国に送った書簡で、改めて同条約に反対する立場を表明し、核保有5カ国と北大西洋条約機構(NATO)の同盟国が「(条約の)潜在的な影響への反対で一致している」と懸念を示した。

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の推定によると、20年1月時点の核兵器保有数は約1万3千発と前年比で3%減ったものの、中国は前年より30発多い320発となった。インドも10~20発多い150発となり、北朝鮮も保有数を増やしたとみられる。

日本政府は核兵器の廃絶という目標には共感を示すものの、同条約への参加には慎重姿勢を崩していない。北朝鮮の核開発や中国の軍備増強など、安保環境が厳しさを増すなか、米国の「核の傘」による抑止力を維持・強化していくことが現実的だとの立場だ。

日本政府は、同条約には「安全保障の観点が踏まえられていない」と説明する。加藤勝信官房長官は「核兵器保有国のみならず、非核兵器国からも必ずしも支持を得ている状況ではない」と指摘する。

核兵器を保有しない国や地域では、既存の核保有国が核兵器を独占しているとの批判が根強い。中東ではイランの核開発疑惑を巡り、周辺諸国が核兵器の開発に乗り出す「核ドミノ」が起きるとの懸念も浮上している。

2月には米国とロシアの軍縮枠組みである新戦略兵器削減条約(新START)の期限が切れる。米大統領選の前に合意を目指すトランプ大統領と、軍拡競争につながる条約失効を避けたいロシアのプーチン政権との交渉が大詰めだ。条約を1年延長し、その間の核弾頭保有数の凍結で合意する見通しだ。中国の軍縮参加や制限対象拡大などの問題は棚上げされる可能性が大きい。

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