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投信データで振り返る第2次安倍政権

投信ランキング

今年9月まで約7年8カ月続いた第2次安倍政権下では、大胆な金融緩和などの経済政策(アベノミクス)によって日経平均株価が2倍以上に上昇した。この間、国内の投資信託市場にはどのような変化があったか。発足当初と終了時のデータをもとに振り返る。

■ETF残高が急増、日銀の買い入れ拡大で

政権発足当初の2012年12月末時点の国内公募投信の純資産総額(残高)は64.1兆円。退陣直前の20年8月末時点では約2倍の126.2兆円に増加した(図表1)。この間、少額投資非課税制度(NISA)の創設・拡充や「老後2000万円問題」が話題になったことなどもあり、一見すると資産形成に取り組む個人が増えたようにも受け取れる。

しかし、投信残高が膨らんだのは、個人が投資を増やしたからではない。投信残高をファンド種別に分解して見ると、増加の大半は上場投資信託(ETF)だ。当初4.2兆円だったETFの残高は、アベノミクスと歩調を合わせた日銀の買い入れ拡大を背景に10倍超の47.1兆円に増加した。個人投資家などが資産形成に活用するアクティブ投信やインデックス投信(除く、ETF)より伸びが断然大きい。

また、16年2月にはマイナス金利政策が導入され、公社債投信のMMF(マネー・マネジメント・ファンド)などは運用難から繰り上げ償還を余儀なくされた。大胆な金融緩和策による負の側面も垣間見える。

■投信残高ランキングは様変わり、販売方針に変化

国内公募投信(ETF除く)の残高ランキングは、この7年8カ月の間に大きく様変わりした。政権発足当初(12年12月26日時点)は、「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」が首位で、残高が1.5兆円を超す規模だった。上位10ファンドは外国債券に投資するファンドのほか、海外の不動産投資信託(REIT)に投資するファンドが占め、全て毎月分配型だった(図表2)。

政権終了時(20年9月16日時点)の残高首位は、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」の9724億円だった。残高が優に1兆円を超えるファンドは姿を消した(図表3)。

発足当初と終了時で重複するファンドは、「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」の1ファンドのみ。2位にバランス型が入ったほか、海外株式に投資するファンドが目立ち、決算回数が年1回や2回のファンドが半数を占めるようになった。7年8カ月の間に世界の投資環境が大きく変わり、「毎月の高分配金」や「新興国の高金利」を売り文句にしたタイプは勢力を縮小。販売会社の販売方針にも変化の兆しが出てきており、これから投信残高を拡大できるかは、「ポストアベノミクス」時代の個人投資家がカギを握っている。

(QUICK資産運用研究所 石井輝尚)

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