「未払い報酬」偽装詳述 ゴーン事件で元秘書室長

社会・くらし
2020/10/23 22:37 (2020/10/24 8:36更新)
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日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告の報酬過少記載事件の公判で、司法取引に応じた元秘書室長への検察側の尋問は10月末でいったん終わる見通しだ。尋問では「未払い報酬」を巡る偽装工作など、検察側の主張に沿う証言をした。11月からは元会長の共犯として起訴された元役員の弁護側の反対尋問に移る。

「内緒で支払うつもりだったから、ゴーンさんのことは言えなかった」。東京地裁で10月16日にあった尋問で、大沼敏明・元秘書室長は未払い報酬を巡る監査法人とのやりとりを明かした。

証言によると、元室長はゴーン元会長の未払い報酬について、元代表取締役のグレッグ・ケリー被告から「インセンティブ」制度を使って支払うよう指示された。業績連動型の報酬で本来は部長級などが対象の制度だ。

元室長は支払いに備えて、2009~14年度の未払い分など約8千万ドルを14年度に計上した。この計上に監査法人が気づき、元室長に支給対象を質問。元室長は「(ゴーン元会長ら)取締役は含まれていません」と嘘を言い、支給対象者の人数を水増しした書面も示して偽装して未払い報酬の発覚を免れたという。

その後、東京国税局の税務調査でも制度の詳細を尋ねられた。「取り繕うことはできない」。大沼元室長はゴーン元会長に「もう無理です」と伝え、計上済みの費用は17年に取り消した。元室長は監査法人に改ざんしたデータを見せたことについて「すごく後悔しました」と声を震わせた。

一方、ゴーン元会長に支払う報酬の予算を秘書室で確保する際、一度に多額を計上すると社内でも疑問視されるため、毎年度約10億円ずつ増やしたという。経理部門には「執行役員の報酬負担が増える」などと説明したが、大沼元室長は「そういう理由付けをした」と法廷で明かした。

元室長の検察側尋問は予定の12回のうち8回を終え、27~30日に終盤を迎える。11月からはゴーン元会長の共犯として金融商品取引法違反罪で起訴され、無罪を訴えるケリー元役員の弁護側が9回にわたり反対尋問する。

弁護側は元室長が司法取引で合意した背景には、ゴーン元会長の責任追及を求める日産幹部らの意向があるとみて、証言の信用性を争う構え。司法取引の経緯も詳しく追及するとみられる。

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