空港検疫、待機どこに 入国制限緩和でスペース課題

2020/10/23 19:15
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新型コロナウイルスの水際対策で、空港内で入国者が検査結果を待つ場所の確保が新たな課題となってきた。政府は10月から、日本に3カ月以上滞在する外国人の新規入国を認めるなど入国制限の緩和を進めるが、警備上の理由などで使える場所は限られる。専門家は「デジタル技術で効率的に結果を通知する仕組みなどが必要だ」とする。

唾液の抗原検査のため、検体を採取する人たち(9月24日、成田空港)

成田空港第2ターミナル(千葉県成田市)に9月下旬、フェースシールドで顔を覆った乗客らが姿を見せた。「目盛りの位置まで唾液をためてください」。検疫所で職員から容器を手渡されると半個室ブースに入る。ブースには唾液が出やすいように梅干しやレモンの写真も貼られている。

成田空港では、使っていないコンコースなどを空港会社から借り上げ、パイプイスを置くなどして検査結果を待つ待機場所として使う。検体採取から結果通知まで1~3時間かかる。

日本は原則として入国者全員に新型コロナウイルスの検査を行う。7月末に検査方法をPCR検査から、約30分で結果が判明する唾液による抗原検査に変えた。以前はいったん入国を認め、周辺の宿泊施設などで検査結果を待っていたが、結果が出るまで空港内で待つ運用に切り替えた結果、待機場所確保という新たな課題が生まれた。

検疫所の担当者は「入国審査していない人を待機させる場所なので、警備上使える場所は限られる」と話す。今後、発着便が増えれば、空きコンコースなども減るため、使える場所はさらに限られる可能性が高い。定期的に国際線が発着する羽田や関空も同様の課題を抱えているという。

日本は、入国者全員に検査と14日間の自主隔離を求めるなど先進国の中でも厳しい水際対策を敷く。欧米の大半は入国時の検査を義務付けず、14日間の自主隔離だけで済ませる国が多い。比較的厳しいドイツも入国前48時間以内の検査結果(陰性証明)を提示すれば、検査を免除する。

日本と同様に入国時の検査を求める韓国は、発熱などの症状がある人だけ空港で検査し、症状がなければ入国を認めた上で滞在先で3日以内に検査を受けてもらう。空港内の待機場所確保は問題になっていないという。

現時点で検査数は成田を含めて全国で1日2千件前後で推移する。今後の往来増加を見据え、国は全国の空港検疫所の検査能力を11月中に1日2万件まで引き上げる方針だが、現場からは「どれぐらい到着便が増えるかなど、空港の運用方針が決まらないと検疫に使える場所が分からず具体策が立てられない」との声も漏れる。

これまでは検査拡充を優先し、使っていないトイレに検査装置を運びこむなど急ごしらえの対応をしてきた。検査場所と待機場所が遠く、検査結果を通知するためスタッフが何往復もするなど非効率な面もあった。

東京歯科大の寺嶋毅教授(呼吸器病学)は「海外での感染が収束しない中、空港での全員検査は続けるべきだ」と指摘。その上で、待機時間を減らす工夫として「検査機器を増強して検査の回転数を増やしたり、動線を改善したりするなどの対策に加え、デジタル技術を活用して効率的に検査結果を通知する仕組みなども欠かせない」と指摘している。

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