ウイルスはサイコロを振る 文明の興亡、偶然が操る
世界はウイルスでできている(2)

コラム(テクノロジー)
2020/10/24 2:00
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日本経済新聞 電子版
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歴史は偶然の上に成り立つ。史実と同じ数だけ、起きたかもしれない事実がある。命運を分けるサイコロのいくつかはウイルスが振っている。

天然痘ウイルス=国立感染症研究所提供

天然痘ウイルス=国立感染症研究所提供

英ケンブリッジ大学などのチームは北欧で600~1050年ごろに埋葬した11人を含む13人の亡きがらを調べ、天然痘ウイルスの痕跡を見つけた。ゲノム(全遺伝情報)を解析し、天然痘ウイルスが初めて現れたのは300年ごろと推定した。言い伝えなどを脇に置けば、出現は1600年ごろだと専門家は従来のゲノム研究から考えてきた。「実際は1000年以上早い」。同大のバーバラ・ミューレマン博士は7月、米科学誌「サイエンス」に発表した。

「1000年以上も前」という史実は、ウイルスの進化史を大幅に更新した驚きとともに、これだけの長い間、「起きていたかもしれない脅威」に文明がさらされ続けていたという恐怖を呼び起こす。

ウイルスは気まぐれだ。人類にいつ牙をむくか、予断を許さない。動物に巣くうウイルスがたまに遺伝情報の複製ミスを起こし、感染力や病原性が一変する。ヒトの細胞を乗っ取れるようになり、…

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