中外薬、一時4%高 好業績を好感
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23日の東京株式市場で中外製薬の株価が一時、前日比149円(4%)高の4305円まで上昇した。前日に発表した2020年1~9月期決算の増益幅が大きく、好感した買いが優勢となった。売買代金は前日の1.8倍に膨らんだ。

血友病治療薬「ヘムライブラ」や関節リウマチ薬「アクテムラ」が海外で伸びた。無形資産の償却費などを計上しない「コア営業利益」は、1~9月期で20年12月期計画の84%に達した。クレディ・スイス証券の酒井文義氏は22日付のリポートで「予想達成は明らかに視野に入った」と指摘した。
もっとも、株価は今年6月に付けた上場来高値の5963円(株式分割を考慮した実質ベース)から3割下げている。複数のメーカーで新型コロナウイルス治療薬の開発が遅れ、医薬株は世界で利益確定売りの対象になった。「米大統領選で民主党候補のバイデン氏が当選した場合の薬価引き下げが懸念されている」(SMBC日興証券の圷正嗣チーフ株式ストラテジスト)という面もある。
中外薬ではアクテムラのコロナ治療薬への転用が期待される。親会社のロシュは21年にはアクテムラの新たな治験結果を公表するとみられる。市場では「来期は不透明要素が強く、治験結果が出るまで上値は重い」(銀行系証券)との声が聞かれた。
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