大研医器、手術時の血液吸引器 デジタル化でミス防止

2020/10/23 16:00
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大研医器の新型吸引器「バイロン」は吸い取った液体の量を自動で計測する

大研医器の新型吸引器「バイロン」は吸い取った液体の量を自動で計測する

手術時に出る血液などの吸引器で国内最大手の大研医器は、吸引量などを自動で記録する機能を加えた新機種を開発した。看護師らの負担を軽くし、記録ミスも防げる。非常時にも使用できるよう、約15時間持つバッテリーも内蔵した。同社製品は国内75%のシェアを握るが、後発品の登場で収益性が悪化していた。新機種を武器に海外展開にも乗り出す考えだ。

吸引器は複数のボトルがつながれており、開胸手術などの際に排出される血液や体液などを吸い取る。同社の現在の主力製品「フィットフィックス」は、排液を吸い取るボトルを従来の再利用型から使い捨て型に変え、医療現場の負担を大幅に軽減したと評される。

新機種「バイロン」はさらに機能を高め、10月から一部の医療機関を対象に出荷を始めた。価格は10万円(本体価格)を想定し、2021年度に国内で10億円の売り上げを目指す。

複数のボトルを連結した上部にタッチパネルを設置。吸引した液体の量を自動で計測してデジタル表示する。履歴も残せるため看護記録としても使用できる。従来品は看護師らがボトルの目盛りをのぞき込んで手作業で記録していた。

1つのボトルが排液でいっぱいになると連結した次のボトルに移るが、従来品は排液が空気を通して空のボトルにまで伝わることがあり、未使用ボトルも廃棄しなければならなかった。また連結するボトルが多くなると吸引力が落ちる課題があった。

新機種には自動で作動する弁を搭載。空気を通した空のボトルの汚染を防ぎ、ボトルを多く連結しても吸引力が落ちないようにした。約15時間持つバッテリーも搭載しており、停電など緊急時でも継続使用できる。

フィットフィックスは国内シェアの75%を占める同社のヒット商品だ。ただ、08年ごろに特許が切れ、競合他社が同様の安価な製品を投入し商品単価の下落が続いている。大研医器の20年3月期の全体の売上高は1%増の85億円だったが、フィットフィックスの売上高は3%減の35億円だった。

21年度以降に新機種の海外展開にも乗り出す。海外ではより安価な商品が主流で、これまではほとんど開拓できていなかった。山田圭一社長は「機能の高さを武器に先進国を攻める」と意気込む。(下野裕太)

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