難しい「売り」のタイミング 答えは自分の中にある
投資とどう向き合うか(4)

Life is MONEY
株式投資
コラム(マネーのまなび)
増やす
2020/10/26 2:00
保存
共有
印刷
その他

今月は「Life is MONEY」のテーマとして「投資」について考えてきました。多くの人が資産形成に使うツールとして投資を行う時代になったとき、「売り方」を学ぶことも重要なリテラシーになります。

~投資は「買い」と「売り」のタイミングが難しい~

投資の永遠の悩みは「買い」や「売り」のタイミングを模索することです。私は「長期・積立・分散」投資をお勧めしていますが、定期購入がもっとも効率的な買い方というわけではありません。

もっとも効率的な買い方があるとすれば、「一番安いタイミングに全額投入」がいいに決まっています。しかし、そのタイミングが分からないから私たちは悩みますし、しばしば行動すらできません。人間には感情があるため、非合理的な判断をする可能性が小さくないからです。

自動的な定期購入はベストではないもののベターな選択肢であることは間違いありません。また日常生活や仕事への負担を減らすためにも効率的な方法です(もちろん、毎日株価を見るのが楽しい人はそうすればいいでしょう)。

さて「買い」が難しいのと同じく、「売り」も難しいものです。私は「今の株価は過熱気味で上がりすぎだ」と思うことがしばしばですが、そこで売るとその後にもっと株価が上がって悔しい思いをします。

適正な株価(何を持って適正とするかはまた難しい)と、現実の株価は違うこともありますし、やはり売りどきの見極めは難しいものです。

~マーケットを見ない 自分の心の内に求めよ~

「売り」で後悔をしなくてすむ方法がある、としたらどうでしょうか。それは逆説的ですが「株価」を見ないということです。

株価を見て、そこに売りどきを求めるのが当たり前だと思うかもしれません。しかし、本当の売りどきは「自分自身の心の内」にあるはずです。

例えば「住宅購入資金や子の学費など、現金を必要とする理由がある」「リスクを取りすぎている運用状況であり、リスク資産額を減らす必要がある」「引退が近づいているので、そろそろリスク資産の運用割合を低くしておきたい」などの理由があるなら、1日2日の株価の変動はもう気になりません。

1円でも高く売れたか、あるいは売ったあとさらに株価が上がったか、そんなことも大きな問題にならなくなります。売る理由を自分自身のライフプランやマネープランの中に見つければ、投資の終わらせ方もぐっと簡単になるのです。

~「売る」回数を増やすほど投資の負担は高まる~

毎日株価をウオッチして、最適な売りタイミングを見計らうのが投資の醍醐味であり重要事だと思っていた多くの人にとっては、「売りどきは自分の中にあり」といわれることを意外に思うかもしれません。

しかし、売りどきを見極めるためにマーケットウオッチをし続けたり、分析したり、売買予約注文を出したりするのは相当な負担です。4000万人が投資をする時代に、仕事の途中に株価に気を取られていては困りますし、現実的ではありません。

「売る」回数を減らすことは、誰もが投資を行う世の中において必要な投資テクニックになっていくと思います。そうした投資教育も求められるでしょう。

もちろん、損をして投資を終わらせるのはもったいないことですから、利益を出して投資を終わらせたいもの。これについては「長期・積立・分散」投資を継続することで勝率を高めることができます。

金融庁が用意しているつみたてNISA(少額投資非課税制度)の説明資料では20年間、積立投資を行えばほぼ確実にプラス運用で終わらせることができるとしています。しかし5年では足りません。最後の年にリーマン・ショックが来たり、回復まもない段階で満期が来てしまうことは避けられないからです。やはり長期投資が重要になります。

~経済成長の果実があなたの未来を豊かにする~

買い方や売り方を効率的にする方法を考えてみましたが、やはり投資スタイルは「長期・積立・分散」に戻ってきました。あなたがもし、資産形成の力に投資を組み入れてみたいと思うのなら、ぜひ長期・積立・分散の力を取り入れてみてください。

つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)、企業型確定拠出年金を活用すれば3つの投資手法を簡単に実行することができます。私たちの投資負担は少なく、しかし確実にあなたの財産を増やすエンジンとなるはずです。

長期的にみて企業が成長すれば、株価が上がるだけではありません。そのイノベーションによって私たちの社会生活が豊かになります。多くの企業で働く人たちの雇用を支える原動力でもあります。そして、社会が豊かになり、働く人たちが笑顔で暮らし、企業が成長していく流れの先には、投資元本の増加があり、それをもってあなたは豊かな未来を実現することができます。

もし老後資産形成であれば「積立投資30年超、人生最後の、そして最初の『全額売り!』」でもOKなのです。そんな気持ちのよい投資を始めてみてはいかがでしょうか。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)

フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]