中国、個人データ国外持ち出し規制 米念頭に対抗策も

貿易摩擦
習政権
中国・台湾
2020/10/22 20:35 (2020/10/23 5:09更新)
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個人データの管理を厳格化する新法には、中国企業への強硬姿勢を強める米国へ対抗する姿勢がにじむ=ロイター

個人データの管理を厳格化する新法には、中国企業への強硬姿勢を強める米国へ対抗する姿勢がにじむ=ロイター

【北京=多部田俊輔】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は21日、個人データの海外への持ち出しを厳しく制限する個人情報保護法の草案を発表した。米国を念頭に、個人データを巡って中国に差別的な措置をとった外国への対抗措置も盛り込んだ。

トランプ米政権が中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」やスマートフォンの対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を標的としたことに対抗し、2021年に施行する可能性が高い。

11月中旬まで専門家らの意見を募る。中国のネット利用者は9億人を超す。顔認証のデータ収集など個人情報の取り扱いを巡るトラブルが起きているほか、中国市場で中国人利用者の個人情報を扱う日本や欧米など外国企業によるデータの海外への持ち出しを制限する法整備が求められていた。

海外へのデータ持ち出しについては、政府のネット当局の安全評価を義務付けて承認を得る必要があると定めた。通信や金融など重要インフラの運営者や一定以上の情報量を扱う事業者は国内での情報を保存を義務付けた。海外に持ち出す場合は中国に専門組織を設けて、事前にリスク評価を行うことも求めた。

個人情報保護で中国に差別的な制限措置を行った国や地域には、相応の対抗措置を行うことも明記した。中国で事業活動する米マイクロソフトや米アップルなど米国企業が標的となる可能性を指摘する声もある。

多くの日本企業は中国に進出しており、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を押さえ込み、経済が上向く中国市場での事業拡大を狙う。スーパー、コンビニエンスストアなどの小売業だけでなく、電気自動車(EV)などの走行データを収集する自動車メーカーも含め、顧客データの厳格な管理が求められることになる。

罰則規定では、違反すれば最大で5千万元(約8億円)、または前年の売上高の最大5%の罰金を科す。個人情報に関する業務を停止し、営業許可証などの効力を停止する。

草案の総則によると、個人情報を保護し、法律にもとづいて個人情報の利用を促すことが新法の狙い。「国家安全」や公共の利益に危害を与える活動を禁じることも明記した。中国で事業展開する外資を含めたすべての企業や組織の個人情報の収集に加え、海外の中国人の個人データを扱う企業も対象となる。

個人情報の取得は通常、本人の同意を必要とすると定めた。ただ、緊急事態や法律の規定などによっては同意を不要とする。民族や信仰に加え、顔や指紋など個人識別に使うデータなど生体情報、医療・健康、金融、行動履歴などを「デリケート個人情報」と規定し、個別の同意を必要とすると決めた。

習近平(シー・ジンピン)指導部はネットの統制を強めており、17年にインターネット安全法(サイバーセキュリティー法)を施行した。今年7月に草案を公表したデータ安全法(データセキュリティー法)の審議を進めており、今回草案を発表した個人情報保護法の3本でデータ統制の法的枠組みがひとまず整う。

サイバーセキュリティー法では顧客データを海外に持ち出す際に当局の審査を義務付けた。今年6月には同法の行政規則も制定し、金融などの重要インフラ運営企業がIT(情報技術)機器を調達する際に当局による安全保障上の審査を受けることを義務付けた。

米中対立は貿易摩擦からハイテクの覇権争いや安全保障の分野に先鋭化している。全人代常務委員会は今月17日にはハイテク技術などの輸出管理を強化する輸出管理法を成立させ、12月1日に施行する。個人情報保護法も早期に整備し、米国との対立激化にも備える狙いが透けて見える。

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