/

川崎重工業がPCR検査ロボ 空港向け、80分で判定

川崎重工業は22日、2021年初めから提供を目指す新型コロナウイルスのPCR検査サービスを報道陣向けに公開した。自社のロボットを組み合わせた無人の検査室をコンテナ内に設け、所要時間は従来方式の半分以下と短い80分で、新型コロナに感染していないかどうかを確かめられる。迅速な検査が求められる国際空港や東京五輪・パラリンピックなどのイベント会場での需要を見込む。

受付を済ませ、検体の入ったチューブをベルトコンベヤーに載せると、長さ12メートル、幅2.5メートルのコンテナに運ばれる。コンテナ内の検査室には産業用ロボットが10台ほど設けられ、遠心分離から核酸の抽出、試薬の調製、PCR測定といった一連の作業を無人で進める。検査時間は80分で、3時間半を要した従来の有人方式よりも短縮できる。1日に16時間稼働する場合、コンテナ1つあたり2000件程度の検査の処理が可能だ。

検査費用は1万円程度に抑える。人件費をなくし、通常3万~5万円かかるクリニック等の自由診療と比べて手軽に検査できるようにする。

川崎重工は自社のロボットだけでなく、検査サービスも含めまるごとパッケージとして整えた。検査データは病院のパソコンに送られ、陰性とわかると待合室で渡航に必要な陰性証明書を受け取ることができる。陰性が確認できなかった場合は、あらかじめ手配している車で空港周辺の病院に送り届ける。

まずは国際線が多く発着している羽田空港や成田空港、関西国際空港への設置を図る。他の地方空港にも打診を進めるほか、海外当局にも働きかけて海外の空港からの受注も目指す。検査室はトレーラーで運べるため、空港だけでなくスポーツやコンサートといったイベント会場などにも設置できる。21年夏には東京五輪の開催を控えているため、検査ニーズの広がりに伴って普及が期待できるとみる。

医師や看護師、臨床検査技師が担っている鼻からの検体採取を遠隔でできるロボットの認証取得も進める。多くの国では入国にあたって、鼻から採取した検体のPCR検査を求めている。一方で採取の担い手が限られ、鼻に綿棒を入れた際にくしゃみによる飛沫を浴びるリスクも高く、自動化が求められている。

対面での検体採取に1件あたり2~3分かかるが、現在開発している検体採取のロボットで自動化できれば、15秒程度で終わるという。医師がカメラを見ながら遠隔でロボットを操作できるよう、綿棒が鼻に何センチ入っているのか、綿棒の先端にどれだけ圧力がかかっているかというデータがわかるようにした。

同社は他の産業用ロボットメーカーに先駆け、4月から既存のロボットを組み合わせたPCR検査システムの開発を進めてきた。社長直轄プロジェクト推進室が国土交通省や厚生労働省、経済産業省といった関連省庁にも調整を図ってきた。

背景には、コロナ禍で需要が低迷する航空機向け事業も抱えている事情もある。同社の航空機機体部品の4~6月期の売上高は前年同期比で6割落ち込んだ。逆風が吹くなか、検査サービスへの参入で社会からの要請に応え、感染防止を通じて人の往来の再開にもつなげたい考えだ。

(山中博文)

すべての記事が読み放題
まずは無料体験(初回1カ月)

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン